天神山経済ゼミ(第一期)に参加して

投稿者: | 2003年4月12日

天神山経済ゼミ(第一期)に参加して
内田宏樹
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1、 ゼミ開設の経緯と目的
 「天神山経済ゼミ(以下、ゼミ)」は、小林一朗氏の発案により、いくつかのML へ呼びかけを通じて、年初1 月より始まった。「経済のグローバル化と環境破壊や貧困、失業、産業の空洞化」(小林氏の呼びかけメールから引用)をウォッチする中で、勉強の必要を感ずることから、グローバル化する経済およびそれを推進する人の考えや行動を理解することを趣旨・目的として呼びかけがなされた。経済の現況に飽き足りず、さまざまな運動を行うための背景理解、理論武装を目的としたことから、対象は経済学(Economics)よりは経済(Economy)、それも実践に役立つように、という視野に立つこととなった。個人的には、勉強のやり直しと、運動の実践者との交流という二点の目的からゼミに参加した。
2、扱ったテキストとゼミの進め方
 第一期のテキストとして、以下の二冊を選定した。『グローバル経済』(羽鳥敬彦編 世界思想社刊)『徹底討論 グローバリゼーション賛成/ 反対』(スーザン・ジョージ、マーティン・ウルフ著 作品社刊)この二冊について、毎回、『グローバル』は一章ずつ、『賛成/反対』は二章ずつ、それぞれレポーターによるレジュメ作成および報告という形で、三週間に一度の頻度で行った。第一期ということもあり、読了による達成感を重視したことから、当初予定の三ヶ月を大きく超えて5月末までの五ヶ月を要したものの、この点は柔軟に変更してよかったといえる。3、経過および成果 第一期を通じてグローバル化を続ける世界経済の理解につとめたが、当初、注目が集まった『賛成/ 反対』よりも、『グローバル』のほうが結果的に読みごたえがあり、参加メンバーにも好評であった。同書の内容からは質問・討論が多く出たことで、辛抱強く通読したことにより、世界経済における各セクター別の基本構造の通時的理解、また世界経済全体の共時的な理解が得られたといえる。また、『賛成/ 反対』については、グローバル化の「推進論者」の理論武装の浅さを垣間見たことも収穫だろう(正確には、マーティン・ウルフは強硬な推進論者とはいえないが)。一方で、ゼミを通じて相手にしようとしている「敵」の今さらながらの巨大さに、ため息をつくより他なくなったこともまた、印象的である。テキストの輪読以外にも、経済関連書籍の書評という形で書籍の内容のリビューをした。これは不定期・散発なものにとどまったが、試みとしては有益なものだった。メンバー間での情報交換密度が高まるにつれ、ML上でも関心のある書籍が都度紹介されるなど、書籍リビューは自ずと活発化していったが、定期的な場をゼミに設けることによりさらに活性化するようであれば、なおよい。
また月並みではあるが、それぞれの参加者との交流から得られたものは大きかっただろう。日常生活では出会いがなかなか期待できない背景を持つメンバーとの邂逅、その上での意見・情報の交換は、テキストの輪読以外にも大きな収穫になったはずである。
4、課題点
 一方で、ゼミの進め方には改善の余地を残したといえる。ゼミに併せて開設したML のメンバーは16 名であるが、徐々に出席者が減っていった。このことは、日中は仕事(勉強)をしながら参加し続けることが容易でなく、出席に際して予習を必要としたため致し方ないとはいえ、メンバーのインセンティブ維持が意外に難しいとの思いを強くした。この点はこうしたゼミによくあることだと思われるだけに、いつでも「復活」できる空気を作っておくことの重要性は、強調しておいたほうがよい。以下に述べる第三期のゼミは隔週になったため、なおさら考慮が必要だろう。
5、今後の方向性
 第一期の終了後、6月開催の内橋克人連続セミナー(岩波書店主催)を「第二期(自由参加)」とし、現在、7 月中旬スタートを目標に、第三期の内容を検討している。第三期では、これまでとは路線を少々変え、歴史についての勉強をしようということになった。現在の経済が行き来たった理由・背景を知るには、歴史を遡って学ぶ必要があるとの提案がなされたことによる。未来を語るためには過去の理解は必須であり、過去を知らずして現在の深い理解はかなわぬと思えばこそ、この展開は好ましく受け止めている。「急がば回れ」である。現在、近代以降の覇権国の推移、西洋史における経済的側面の把握という論点から、テキストを選定している。
 第三期では、いわゆる「お勉強」的要素が増えることは避けられないため、メンバー各自のインセンティブ維持が重要となるだろう。これは、内容が高度になること以外にも、さらなる長期戦になることが既に見えていることによる。また、ゼミの運営についても工夫が求められるだろう。「勉強のための勉強」ではないことから、社会への問いかけ・働きかけにつながる学びの場としてゼミを位置づけ、こうした問いかけ・働きかけを「そだてる・はぐくむ」ことを念頭にして、ゼミを進めてゆけるとよい。               (6 月29 日記)

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