日本における研究ガバナンスの崩壊

投稿者: | 2015年12月16日

日本における研究ガバナンスの崩壊

小林 剛

( 医学博士 環境医学情報機構 東京理科大学ナノ粒子健康科学研究センター元客員教授
 カリフォルニア大学環境毒性学部元客員教授 )
pdfはこちらから→csijnewsletter_033_kobayashi01_20151202.pdf
参考資料  【それぞれPDFファイルでお読みください】
1) 光触媒からのナノチタン粒子の劣化放出
csijnewsletter_033_kobayashi02_20151202.pdf
2) 摩耗および風化によるビル資材二酸化チタンナノ粒子類の排出
csijnewsletter_033_kobayashi03_20151202.pdf
3) 欧州科学委員会・環境政策:ビルのナノコーティングは毒性粒子類を空気中に放出
csijnewsletter_033_kobayashi04_20151202.pdf
1.日本の科学への信頼性に未曾有の危機

日本の科学研究ガバナンスの完全な破綻が露呈した。世界各国において共通する研究不正のFFPすなわち捏造 (fabrication)、改ざん (falsification)、盗用 (plagiarism)のすべてと多様な逸脱行動が、我が国の科学コミュニティーを震撼させた。
昨年のSTAP細胞論文は世界一の研究不正事件として、海外の科学コミュニティーに驚愕を与
え、日本の科学の信頼性に対し重大な懸念が表明されている。さらに、忌まわしいことは、その後も研究不正は依然として後を絶たないことである。その内容はネット検索により容易にアクセスでき、夥しい件数と酷い悪質性には驚かされる。これはまさに「非常事態」である。米国の友人の研究者も、「日本の風土が研究不正を悪質化させた。過ちは、人間としては犯し勝ちだ。しかし、「続発」は問題だと心配している。
ところが、当事者の我が国の科学コミュニティーは、海外における日本の科学研究に対する不信感について切実な危機感がなく、日本学術会議 (SCJ)などによる国際科学社会への真摯な反省と謝罪の正式表明がないことは、益々事態を悪化させている。海外の科学者は、日本人リサーチャーの論文に対して、「疑惑」の目をもってチェックするのは必定である。このまま、曖昧な対応でお茶を濁すと、世界の一流レベルからの脱落は必至である。これは我が国の科学にとって大きな不名誉と損失であるが、研究不正のツケが回ってきていると甘受すべきである。STAP細胞事件以後の、日本の対応には真剣さが不足していることは、以下に詳述する科学社会の「甘えの風土」に根ざしている。
科学における不正行為の遠因としては ” publish or perish “(研究論文を発表するか、さもなければ破滅するか」といわれるほど過酷な「研究競争」がある。研究指導者は、グラント獲得のため、大きな労力と時間の消費を余儀なくされ、スポンサーに対して研究成果を示す必要がある。その反面、研究室内での強圧的な指示や指導の継続により、研究者は上司への迎合と保身のため、不本意ながら、データの厳正な評価から逸脱し勝ちな背景が潜在し、陰湿な空気が停滞しているといわれている。
【続きは上記PDFファイルにファイルにてお読みください】

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