ナノテクノロジーは「食」を

投稿者: | 2009年1月6日

ナノテクノロジーは「食」を
例えばあなたは、次のような食品や包装容器が出現したら、どう思うだろうか? それを歓迎し、買ってみたいと思うだろうか? それともなんとなく違和感を覚えて手を出さないでおくだろうか?
・ビタミンE やCとともに体内で抗酸化作用を発揮すると考えられている、必須の微量元素セレン(セレニウム)を含有し、ナノテクを用いて通常の10倍増で摂取できるようにしたサプリメントのお茶
・ナノサイズ化する乳化技術を用いて、コレステロールの吸収が起こらないようにした食用油
・脱酸素能を持ったナノテクナイロンで裏打ちされたボトルに入っているため、鮮度が長く保たれるビール
・砂糖の使用を抑えているが、ナノテクを用いて風味を高めた甘いチョコレート
超微細加工技術であるナノテクノロジーを食品分野に応用して、ここに挙げたような新しい食材や包装材を作ろうとする試みが始まっている。そもそも食材をナノサイズにすることが難しいし、たとえナノサイズにできたとしても凝集する性質が強く出るためそれをそのまま維持することも難しい。だが、すでに白金ナノコロイド入りの栄養補助食品が数種類市場に出回っていたり、ナノテクと銘打たなくても例えば果物の香り付けがほどこされた缶酎ハイ(香り分子を乳化剤を使ってナノサイズのコーティングをかけて安定化させる)などですでに応用されているものがいくつもある。ちなみにこの後者の技術は、ナノサイズの領域で界面制御技術により、栄養素材を食品の加工段階から、摂取した後の体内吸収まで安定して供給するものとして、広い応用が見込まれている。
こうした技術を使って、将来は、そのままでは味が悪くて食べられない食材を舌ざわりよく味わうことができるようにしたり、健康を維持するために特定の栄養成分が吸収されやすい食品を作ったりということもさかんに行われるようになるかもしれない。
さらに、ナノのサイズの超微細なセンサーを埋め込んで、食品が腐敗しはじめたら包装材そのものが発色してそのことをいち早く知らせるような材料も開発され、一部の国では実用化されている。
現在はまだ基礎的な開発段階のものが多いとはいえ、欧米の大手の食品企業が本格的に動き出していることもあって、当地の消費者団体や環境NGOなどで警戒感を強めているところもある。市民科学研究室では、現在この問題で共同研究の一環として、2009年~10年にかけて市民を巻き込んだテクノロジー・アセスメントを試験的に実施することを予定している。次ページの「要点」はそのための布石の第一歩としたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です