携帯電話電磁波の危険性を警告する声が続々と

投稿者: | 2009年2月1日

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携帯電話電磁波の危険性を警告する声が続々と 上田昌文
あなたが今携帯電話を使っていて、電磁波曝露を減らす対策を何も講じていないのなら、通話で使うのは今すぐやめた方がいい。ましてや、子どもに携帯電話を持たせるのは、メールしかできないようにした特別な機種でもない限り、絶対にやめた方がいい――これが私からの提言だすれば、あなたはどうしますか? 自分で納得のいく対処を探りますか? それとも不安を覚えつつ、今まで通り使い続けますか?
 
このところ世界のあちこちから、ここ10年でほどで圧倒的な普及を示した携帯電話に対して、健康への悪影響を懸念する研究者の声が続々と上がっています。日本ではまったくと言っていいほど取り上げられていませんが、タバコやアスベストにも比すべき大きな社会問題になりかねないこの「携帯電話と脳腫瘍」の問題に、責任ある高い地位にいる著名な科学者たちが予防的対応の必要を訴え出しているのです。
 米国では史上初めてワシントンでの議会の公聴会で、携帯電話と脳腫瘍の問題が取り上げられ、影響を懸念する科学者と問題ないだろうとみる科学者の両方の意見が披露されました(2008年9月22日23日)。
 ここで最も注目されたのが、携帯電話電磁波の疫学研究では世界をリードしてきたレナート・ハーデル博士(スウェーデンのオレブロ大学病院)らによる「20歳以前に携帯電話の使用を開始した人々は中枢神経を支えるグリア細胞のガンである神経膠腫(グリオーマ)に5倍かかりやすい」との結果です。良性ではあるが聴覚神経を損ない、通常耳が聞こえなくなる聴覚神経腫瘍にもほぼ同様の割合でかかりやすくなる、とハーデル博士は付け加えています。若いときに携帯電話を使い始めた人々を対象にした研究としては、これは世界初のもので、ハーデル博士はこの結果を、電磁波研究トラストが世界の著名な研究者らを多数招き(残念ながら日本人研究者は含まれていません)、英国の権威ある王立協会で開催した会議で発表したのでした(9月8日、9日)。
米国の公聴会で証言台に立った一人は、ロナルド・ハーバーマン博士(著名な腫瘍免疫学者で、ピッツバーグ大学ガン研究所ならびに国立ガン研究所の初代所長)で、証言の中で「ここ10年間で20~29歳の大人の間で脳腫瘍の発症が増加している」というデータも示しました。若者の携帯電話の使用との関連を疑わせる気がかりなデータと言えるでしょう。
ヨーロッパではすでに英国政府、フランス保健省、オーストリアの医師会などが携帯電話の健康影響に関する勧告を出していましたが、2008年9月4日に採択された欧州議会の議決「欧州の健康と環境 アクションプラン2004-2010 中期評価」でも、新しい先端的な技術のもたらす影響にどう向き合うかを総括的に論じる中で、電磁波曝露の問題が取り上げられていて、ヨーロッパ全土の大臣に対して、「とりわけ子どもたちが脆弱である点も考慮して、携帯電話やコードレス・フォン、 Wi-fi 無線LAN、その他の機器からの電波への暴露をもっと厳しく制限することを強く推進する」といった内容が盛り込まれていています。
電磁波規制の強化を求める全ヨーロッパ的な動きは、「電磁波の安全性のための国際委員会」という名のイタリアを拠点とした非営利の国際組織(2003年設立)が毎年開催する大きな規模のワークショップで採択された「ヴェニス決議」(2007年12月17日、47名の各国の著名研究者たちの連名)でも明確に打ち出されています。
ロシアは、規制強化と予防的対応に関してはもっと具体的で先進的です。電磁波防護の国の指針を決めるロシア国立非電離放射線防護委員会は、携帯電話に関する特別声明を出していて(2008年4月14日)、2001年にすでに「16歳以下の子ども、妊婦、神経に関連する疾患を持つ者は携帯電話を使用すべきでない」「通話は最長で3分まで、1回通話したら次にかけるまでに最低でも15分の間隔をあけること」などと勧告していることに加えて、「子どもへの潜在的リスクは非常に大きい」として、「このリスクはタバコやアルコールに比べてもずっと小さいとは言えず、子ども自身はそのリスクにさらされていることを意識しない」「子どもが健康を損なうことのないようにするのは、我々の職業的義務である」と明言しています。
最も実際的なアドバイスは、最近の様々な健康影響研究の結果を分析して、米国のピッツバーグ大学ガン研究所がまとめた、「10の予防的手段」の文書でしょう(2008年7月24日)。この勧告には、米国、フランス、イタリアなどの研究者ら23名が名を連ねています)【市民研ウェブで全文を紹介】。そこでは、携帯電話事業者に対しても厳しい注文をつけています。
「携帯電話事業者は、個々の端末の使用者の使用データへのアクセスを認め、健康影響研究に適切に活用できるようにすべき」「可能な限り曝露を減らすように開発をすすめるべきだし、消費者に健康を損ねないような使い方を喚起していかねばならない」「それが、アスベストに見られるような社会的な大きな被害・損害を避けるための、結局は企業自身にもプラスをもたらすだろう対処であり、企業の社会的責任でもある」
いかがでしょう? 日本の政府、関連分野の研究者、携帯電話事業者らが、消費者に向けて何ら警告を発しないのは、いかにも奇異なことではないでしょうか。■

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