Sex, Age and Caste: The Ultimate Macrohistories? 「性・年齢・カースト:究極のマクロヒストリー?」( 下)

投稿者: | 2004年3月29日

Sex, Age and Caste: The Ultimate Macrohistories?

ラリー・トーブ L a r r y T a u b  ( フリーランス翻訳者,アメリカ合衆国)
翻訳:住田朋久

「性・年齢・カースト:究極のマクロヒストリー?」( 下)

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◆ 9月の土曜講座の講師、ラリー・トーブさんの論文の後半を掲載します。歴史の長期的な見方であるマクロヒストリーの深層構造として、先月号の「年齢モデル」、「性モデル」につづき、今回は「カースト・モデル」を紹介します。The Caste Modelカースト・モデルThe Spiral of History歴史のらせん 「カースト・モデル」はインドが起源である。これは、悪名高いカースト制度の陰に隠れてしまった理論でもある、カーストについての伝統的なヒンドゥー教の哲学から、あるいは少し異なる重要な方法で、導かれるものである。そのカースト哲学は、ヒンドゥーの宇宙論とともにヒンドゥーの(もちろんマクロヒストリーの)歴史哲学を形成している。しかし、前にも述べたようにインドの文化は「陰」であり、歴史は循環すると考えている。この「陰」の偏りをただすために、これからわたしは、ヒンドゥーの哲学がどのように歴史上説明してきたかに関連づけて、両性(中性)的にかつより正しくもともとのヒンドゥー哲学を西洋の「陽」で解釈しなおすことにする。

この「カースト・モデル」は、ヒンドゥーのカーストと同じく、世界には四つのカーストが存在するとしている。それぞれの人が四つの特徴をすべて備えているが、普通そのうち一つが支配的である。その特徴が、その人の「属する」カーストである。四つのカーストとは以下である。1.宗教的あるいは精神的カースト――ブラフマン[ バラモン]2.戦士のカースト――クシャトリヤ3.商人のカースト――バイシャ4.職人のカースト――シュードラ

それぞれのカーストがこの順に世界を支配するのである。「カースト闘争」によって一つ前のカーストから権力を奪っていく。

「カーストが世界を支配する」とはどういうことか。それは、その「時代」(サンスクリットの「ユガ」)に、あるひとつのカーストが以下のように支配することである。・そのカーストのリーダーや上部が世界を支配するエリートである。・そのカーストの世界観と精神が、世界中で支配的なものである。・その「時代」にもっとも発達する手段や技術、機関がそのカーストに関連するものである。

そして、四つのカーストすべての支配を経た、最後の「職人の時代」( サンスクリットの「カリユガ」)の終わりには、精神的宗教的なブラフマンが再び権力を握る。世界は精神的に再び誕生し、第二の「精神・宗教の時代」が始まるのである。

このように、実際の歴史はちょうど五つの時代でできている。

精神・宗教の時代1――サチャユガ1
戦士の時代――トレタユガ
商人の時代――ドゥヴァパラユガ
職人の時代――カリユガ
精神・宗教の時代2――サチャユガ2

わたしの東西両性(中性)の解釈では、この「環」は人類の歴史すべてで一度だけ見られるものである。すなわち、「精神・宗教の時代1」は動物の生から人類の生への移行であり、また「精神・宗教の時代2」は人類の生から超人類super human の生への移行、つまり進化の一段階で、人のいう新しい「人類以降」 post human の始まりである。言いかえると、もともとのヒンドゥーでは歴史の概念が無限に繰り返す循環であるのに対し、人類の歴史は一回きりの環からなる、「らせん」を形成しているのである。S m a l l e r P a t t e r n s i n t h eBigger Picture大きな流れのなかの小さなパターン このカーストの闘争の歴史、すなわち歴史そのものを振り返ると、さまざまなパターンを見ることができる。たとえば、これらのカーストの時代は非常に長い二つの精神・宗教の時代を除いてだんだん短くなっている。

しかしもっとも重要なパターンは、三つのまったく異なる段階を経ながらあるカーストが最高権力と争うことである。

まずひとつめは、「開拓の段階」pioneering stage である。これは世界の主要な権力があり支配的カーストが支配をおこなっている場所から展開する。この段階に、台頭するカーストは組織化し、権力を準備し、支配カーストへの抵抗を始める。しかしまだ実際にはどこにおいても支配はしていない。

第二は、「革命・進化の段階」r e v o l u t i o n a r y – e v o l u t i o n a r y s t a g e である。ここで台頭するカーストは、主に世界の権力の中心から離れた国々、いわゆる「後進国」において、「革命」を通じて権力をもつ。こうした革命国家は、既成の巨大権力、すなわち古いカーストが支配している国々に挑むような新しい巨大権力になる。

しかし同時に、台頭するカーストは既成の主要な権力の中心、すなわち世界の主要国の内部でも、同じように権力を得るのである。それは革命ではなく「進化」である。

第三のそして最後の段階は、「頂点の段階」 p e a k s t a g e である。この段階で、台頭するカーストはその権力が頂点に達し、世界を支配する。しかし同時に凋落しはじめている。この段階は、そのカーストの精神や世界観に調和して進化した国々から展開する。こうした国々はもっともそのカーストに「属し」、そのカーストの時代に巨大な権力になる。

カーストが闘争を始めて以来、これらの三つの段階は重なりあっている。ひとつのカーストが頂点にあるとき、その次のカーストは革命・進化の段階にあり、そのまた次は開拓の時代にある。

この過程からわかることは――ここが重要!――、ある時期に巨大権力でかつ凋落していくカーストに属する国々は、新しく台頭するカーストに属する国々に対して世界権力を失う。すなわち「カースト・モデル」は、なぜ巨大権力が過去に興亡を経験したかを説明し、またどの国々が将来盛衰をたどるかを予言する手がかりになる。

これから順にそれぞれの時代「ユガ」を眺めることによって、これは明らかになるだろう。

1. Spiritual-Religious Age No.1 精神・宗教の時代1

「精神・宗教の時代1」は、先史時代とその後のゾロアスター教、ヒンドゥー教、ユダヤ教、仏教、キリスト教、イスラム教という巨大な世界宗教の時代である。

2. Warrior Age 戦士の時代

つづく「戦士の時代」は、古代や中世の時期で、紀元前約4 0 0 0 年から1 6 世紀や1 7 世紀初期の軍事君主制にあたる。

ここでの支配エリートは、戦士のカーストの上部にいる人々、すなわち王や皇帝、貴族、将軍などだった。支配的な世界観は、福祉や英雄、武装戦闘、権力誇示などへの愛であった。こんにちの産業化以前の第三世界の国々は、いまもこの時代を生きており、そのせいでこうした国々では現在も軍事政権や専制がなされ、問題解決のために内戦が繰り返されるのである。

1 6 世紀に戦士のカーストの頂点を迎えた「戦士の時代」の最後の巨大権力は、スペインとポルトガル、ハプスブルクやオスマンの帝国、中国の明、そしてインドのムガル帝国であった。

3. Merchant Age 商人の時代

「商人の時代」は、1650 年から20世紀中盤までの起業家資本主義の時期にあたる。世界を支配するエリートは商人のカーストの上部にいる人々、すなわち主導的金融家や産業化以前の商人、そして(その後の)産業起業家たちである。たとえば、メロン家やロックフェラー家、カーネギー家、モルガン家、盛田家、本田家などである。

支配的な世界観は、交易やビジネス、産業、商業資本主義による、利潤と福祉の追求であった。

開拓の段階をとばして、商人のカーストの革命・進化の段階はおよそ1 6 0 0 年から1 8 6 0 年代に権力をもちはじめていった。この段階のすべての革命は「ブルジョア」革命と呼ばれる商人カーストによるものだった。もっとも大切なのは、起こった順にスペインに対抗するオランダ革命や1 6 4 0 年代のイギリスの市民戦争、そしてアメリカ革命、フランス革命、また1 8 6 0 年代はじめから1 8 7 0 年代にかけてのドイツとイタリアでの統一、日本の明治維新、アメリカ南北戦争である。こうした革命によってその後こうした国々は大きな力をもつことになった。 一方こうした革命が起こらなかった国々――オーストリア・ハンガリー、スペイン、ポルトガルなど――でも、商人カーストのブルジョアが権力をもった。これは革命ではなく、進化によるものであった。

「商人の時代」の頂点は、第二次世界大戦前後である。覚えているだろうか、カーストの権力の興隆が頂点になる段階は、そのカーストの世界観と調和して進化した国々で現れる。この商人のカーストの世界観は利潤と福祉の追求である。つまり、アメリカがその世界観ともっとも調和して発展してきたので、アメリカがこの期間のいちばんの世界権力になったのである。

4. Worker Age 職人の時代

「職人の時代」は、現代の共産主義(国家資本主義)や福祉国家的・社会主義的・社会民主的・大企業的資本主義である。これは2 0 世紀の初等から2 0 3 0 年ころまで広がる。いよいよここからカースト・モデルがわたしたちを未来へといざなうだろう。

この時代の、そして支配カーストである職人のカーストの主要な世界観は、その人の仕事や事業、職業、または企業への献身と自己同一化である。つまり、仕事への絶対的崇拝である。

職人のカーストの上部である支配エリートは、ミロヴァン・ジラスのいう「新しい階級」であるし、ジョン・ガルブレイスやセオドア・ローザックのいう「テクノストラクチャー」(専門家集団)などである。いまも社会主義の国々では、支配エリートは共産党や政府、軍部、そして産業界の幹部である。資本主義国では大企業や政府、労働組合の上部である。

職人のカーストの「革命・進化の段階」は1 9 1 7 年から1 9 7 9 年ころまでつづいた。この期間に革命の性質が、「ブルジョア」の商人カーストから「社会主義」革命へと変化した。こうした革命を経験した国々、特にソヴィエト連邦や中国は新たな巨大権力になった。

5. The Near Future �The PeakStage of the Worker Age 近未来――職人の時代の頂点

いまやわたしたちは2 0 3 0 年ころまでつづく職人カーストの興隆の頂点に入りつつある。この段階には二つの重要な特徴がある。ひとつめは、産業化した北と主に第三世界の南の両方において、世界がいくつかの国家連合に分かれた状態になることである。そしてふたつめの特徴は、北が南よりも強力でありつづけながら、お互いに競争し協同しあう三つの巨大な国家連合に分かれるということである。

「職人の時代」においては、国家連合が帝国主義に置きかわる。これがなぜ、いかに起こり、どの国々がどの国家連合に加わるかを説明するには紙幅が足りないが、わたしの著書では詳述してある。・C o n f u c i o 儒教連合:北でもっとも強力な(つまり世界でもっとも強力な)国家連合は、「儒教連合」と名づけることができる。これは儒教の伝統やほかの特徴を共有する近い国々――日本、中国、台湾、南北朝鮮(やがては単一朝鮮に)――から構成される。

儒教連合は世界最大の力をもつ。なぜなら、これまで述べたそれぞれの頂点の段階のパターンに従えば、これらの国々は儒教の伝統の影響をともに強く受け、仕事や事業や企業に献身的であるという職人カーストの世界観にもっとも調和しているからである。・E u r o p a ヨーロッパ:北で、すなわち世界で、第二の力をもつ国家連合は、ヨーロッパになる。このヨーロッパは東欧も加えたEUの拡大である。バルト三国は含むが、ロシアやほかの旧ソヴィエト諸国、またおそらくスイスやスカンジナヴィアの国々は加わらないだろう。[ 訳注:デンマークは9 2年、スウェーデンは9 5 年にEUに加盟]・P o l a r i o 北極圏連合:世界で第三の強力な国家連合は北極圏連合であろう。北極圏連合はアメリカ、カナダ、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、アルメニア、グルジア、もしかするとメキシコ、そしておそらくスカンジナヴィアの五か国である。

この連合を北極圏連合と呼ぶのは、主要な四つの巨大な国と地域が北極圏の周りに近接しているからである。

わたしはこれが北の国家連合三つのうち、第三のものだと考える。なぜなら、三つの国家連合のうち、カナダとスカンジナヴィアを除くと、仕事への献身という職人カーストの世界観にもっとも調和していないからである。ここでは個人の利潤と福祉の追求に献身的な商人カーストの伝統が阻害要因になっているのである。

6. Spiritual-Religious Age No.2 精神・宗教の時代2

この時代は、すでに始まっているが、2 1 世紀を通してつづくだろう。その支配的な世界観は、名前のとおり宗教的で精神的なものである。古い既成の宗教への回帰もあるし、既成の宗教とは別の精神主義や神秘主義の発展もある。

最終的には、既成の原理主義的な宗教や宗派は原理主義の要素が減り、より一般的に精神的になる。「年齢モデル」と「性モデル」がこの理由を説明している:

( 1 ) こんにちの既成の宗教は、人類の青少年期や「陰」「陽」の時代に生まれた。しかしこの二つのモデルによると未来の宗教は、成人になり両性(中性)的なものになる。すなわち、すべての宗教は個人主義的な「内なる神」を志向し、神を男性にも女性にも視覚化するのではない。よって、[ インドの宗教思想家] シュリ・オーロビンドがいうように、「宗教の時代は終わる。精神性 spirituality が未来の宗教である。」

( 2 ) 「性モデル」によれば、フェミニスト革命、特に女性やフェミニストの男性が既成の宗教のなかで果たす役割が増えることによって、そのもっとも原理主義的な宗派すらも成人の両性(中性)的な精神性の方に向くことになる。原理主義や極端な正当主義は、男性の覇権や女性原理の抑制、そしてひげがあろうとなかろうと家父長制の傾向をともなった男性の宗教的な主導に基づいている。原理主義と女性主導は共存できないし、矛盾するものである。それゆえ女性がもっとも原理主義的な宗派においても主導権を引き継ぐことによって、そしてそうなるように決まっているのだから、宗派に脱原理主義化と精神化が生じるのである。

精神・宗教のカーストの上部である世界の支配エリートは、グル、ムッラー、ラビなどの伝統的な宗教指導者であるが、また既成宗教以外で精神的だとされる人物も含まれる。詐欺師やにせ者はこの両方の中間に現れるだろう。 こうしたエリートが存在するにも関わらず、この時代は「性モデル」の「両性(中性)の時代」と同時に起こる。よってここに権力階層や階級構造、男性の覇権の終焉が刻まれる。徐々に支配エリート階級と一般の人、主導者と追随する人との間の区別が平らになり消えていくのである。

7. The Three Stages of the Riseof the Spiritual-Religious Caste 精神・宗教のカーストの興隆の三つの段階

それではこの時代の実際の過去と未来の「歴史」をながめてみよう。・精神・宗教の時代の開拓の段階:新しい精神・宗教のカーストが興隆する「開拓の段階」は1 9 5 0 年代から1 9 7 0 年代にかけてつづき、一方で対抗文化――ビート族、ヒッピー、人間の潜在能力運動、トランスパーソナル理論など――が現れた。また他方で既成宗教や原理主義宗派で「生まれ変わった」人々や、新しい宗教、東洋の宗教や道、またグルが導くニュー・エイジの団体などに参加する人々が非常に増えていることも特徴的である。・革命・進化の段階:新しい精神・宗教のカーストによる権力の興隆の「革命・進化の段階」は、1 9 7 9年のイランのイスラム革命から始まった。このまま3 0 年から4 0 年ほどつづき、「職人の時代」の頂点の段階と重なり合う。 この時期に再び革命の性質が変わる。今度は社会主義/ 共産主義の革命から宗教革命へと移行するのである。アフガニスタンはその最近の例である。

[ 訳注:1 9 7 8 年の共産主義革命後、1 9 8 9 年にソヴィエト撤退、イスラム武装勢力の時代へ]

宗教革命はわたしが「宗教ベルト」と呼ぶ地帯の国々で起こるだろう。このベルトは東洋のバングラデシュからチベット、ブータン、西に進んでインド、イスラムの中心地、イスラエル、そして北アフリカを通ってモロッコへとつづく。 こうした国々で宗教革命が起こると同時に、精神・宗教のカーストとその世界観は宗教ベルト全体で力をもつとともに、工業化した北でも革命ではなく進化によって同じように力をもつことにもなる。

宗教革命が宗教ベルトで起こっていくときに、このベルトはおそらく四つの国家連合に分かれていくと思う。確認すると、革命は国々を強力にする。世界の支配的な宗教的精神的世界観に裏打ちされたこうした革命によって生まれた政治的経済的な力の結果、世界権力は儒教連合、ヨーロッパ、北極圏連合から、以下の四つの宗教・精神の連合へと再び移行するだろう。それらを名づけると:・インド、バングラデシュ、ブータン、ネパール、パキスタン、スリランカ、モルジヴ、チベットからなる「南アジア連合」または「ブハラティ [ ヒンディー語でインド]連合」 South Asian, or Bharati,Federation。・アフガニスタン、イラン、おそらくトルコ、旧ソ連のイスラム共和国、クルドからなる「中央アジア・イスラム連合」 Central AsianIslamic Federation。・イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、レバノン、シリア、エジプト、イラク、アラビア半島諸国からなる「全セム連合」 Pan-SemiticFederation。・エジプトを除く北アフリカ諸国からなる「マグレブ連合」 MaghrebFederation。

このうちの二つ、ブハラティ連合と全セム連合が2 1 世紀の主要な巨大権力になるだろう。ここではこの興隆の理由のうち二つだけ挙げよう。 ひとつめは、この二つの連合がほかよりまさる宗教と精神性が、この時期には精神的な力であるとともに経済的に主要な資源になることである。「職人の時代」には、軍事力がすべての力の源であった。しかし次の時代には精神的な力が経済力になり、そして軍事力になり、すべての力になるのである。

興隆のふたつめの理由は、特に全セム連合においてであるが、少なくとも2 億人のアメリカとカナダのユダヤ人がイスラエルに移住することによる(その理由は著書のなかに四つ以上示した)。

しかし考慮すべきは、力というのは、わたしたちが慣れ親み、戦士、商人、職人の時代にそれぞれ特徴的であった、強圧的で操作できるような、軍事、経済、知識の力(アルヴィン・トフラーが『パワーシフト』でいうような)だけではないということである。精神の力というものも存在するのである。

この二つの連合は、経済的、軍事的、心理的に強力なだけではなく、精神的にも強力で世界のほかの国々に大きな精神的影響を与えるのである。 この二つの連合の興隆を考えるとき、わたしはヒンドゥー教、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教という世界宗教の預言がこの本来の歴史の進化にいかに一致しているかに驚く。・頂点の段階:最終的に、2 0 5 0 年ころからの「精神・宗教の時代」の「頂点の段階」では、世界とその精神性は宗教ベルトの力にほかの世界が追いついていき、巨大権力がなくなるようなところまで進化していく。すべての連合は経済的発展も精神的発展もほとんど同じ程度になるのである。

しかし人類の精神性は、宗教ベルトの伝統的な「陽」の宗教によって抑圧されてきた「陰」の先史・子ども時代であった、過去のわたしたちの「根源」の要素を統合してくようなところまで深まることになるだろう。これらの要素は主に、すべての大陸での先史の文化における宗教的な感覚で必須の肉体、自然、性である。そうした感覚はこんにちでは土着の文化でのみある程度生きつづけている。南北アメリカの先住民、シベリアの人々、アジアの国々の部族、オーストラリアやニュージーランド、オセアニアの先住民、もちろんアフリカでもみられる。

しかしこれらの感覚が認識できないほど抑圧されてはいない地域は、サハラ以南のアフリカ(そしてラテン・アメリカの奥地)だけである。こんにちでもアフリカのキリスト教やイスラム教にはこうした昔からの宗教的感覚が生きており盛んである。 よって、世界がこれらの抑圧されてきた要素を精神性に統合しおわるまでの頂点の段階の初期には、サハラ以南のアフリカ(とある範囲のラテン・アメリカ)がその精神的な力によって歴史上最後の巨大権力となり、強い影響力をもつだろう。

C o n c l u s i o n  まとめ

本稿でわたしは年齢、性、カーストに基づく三つのマクロヒストリーとそこから導かれる未来について説明しようとしてきた。もしあなたがここに歴史の本当の大きな描写を見いだしたならば、これらをあなた自身の個人的な経験からあなたなりの解釈をすることによって、わたしたちが向かおうとしている方向についてさらにほかの手がかりをこれらのモデルから導くことができるだろう。

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