【終了しました】9/29(金) 市民研エコスタディツアー「世界農業遺産(GIAHS)の旅」

投稿者: | 2023年9月24日

市民研エコスタディーツアー

世界農業遺産(GIAHS)の旅~天ぷらバスで巡る山梨峡東~

 

世界農業遺産とは、国連食糧農業機関(FAO)が、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり形づくられてきた農業上の土地利用、伝統的な農業とそれに関わって育まれた文化、景観、生物多様性などが一体となった世界的に重要な農業システムを認定するものです。日本ではこれまでに11地域が認定されており、山梨県峡東地域は2022年7月に12番目の世界農業遺産となりました。

峡東地域は、日本のブドウ栽培発祥の地とされ、平安時代から果樹農業が盛んでした。扇状地の傾斜地に適応するために、多様な果樹品目を栽培し、独自の技術を考案してきました。その中でも約400年前に開発されたブドウの甲州式棚や草生栽培は、世界的にも珍しい農業システムです。また、果樹農業は、枯露柿やワイン醸造などの果実加工や観光果実園などとともに発展し、多様な文化や祭事を育んできました。

このツアーでは、峡東地域の果樹農業システムや文化を体感し、有機無農薬栽培の果樹園や加工施設を見学、地元の食材で作られた昼食を味わいます。また、ぶどう菩薩で有名な大善寺やワイン畑を一望できるぶどうの丘など、歴史や景観に触れることができます。このようなツアーは【エコツアー】と称し、近年環境省が推奨している貴重な自然遺産や文化遺産などの保全を通じた持続的な観光の新しい形の一つです。また、このツアーは有料にて後日動画配信の予定です。

◆実施日:2023年9月29日(金):実施することを決定いたしました

◆行先:山梨県峡東地域(山梨市、甲州市、笛吹市)

◆参加費用:1名10,000円
(全行程バイオ燃料バス利用、GIAHS昼食、世界農業遺産特別解説、農園視察含む。市民科学者育成塾参加者は半額)
オンライン視聴2,000円税別(後日配信)

◆参加費のお支払い

次の3つの方法のいずれかによって、9月25日正午までにお支払いください

1)オンライン決済(クレジットカードによるpaypalを用いた支払い)
以下のカートを用いてPayPalからクレジット決済でご送金いただけます。ご自身がPayPalのアカウントをお持ちならそれが使えますが、そのアカウントがなくても、クレジットカードがあれば支払うことができます。



市民研エコスタディツアー参加費


2)銀行口座からの送金
お持ちの銀行口座からの振り込みもできます。その際は、次の市民科学研究室の「ゆうちょ銀行」の口座宛に送金していただくことになります。
支店名:〇一九
口座番号:608503
普通預金

3)郵便振替による送金
郵便局から郵便振替用紙を用いてご送金いただけます。
加入者名    市民科学
振替口座番号  00160-4-608503

◆行程(予定):新宿駅西口(集合)8:00=<中央道>=現地ツアー終了後=<中央道>=18:00新宿駅西口(平日実施での解散予定)

◆申し込み:以下のボタンからお願いします。
あと数名の申込みを追加で受け付けています。9月25日(金)正午で締め切ります。ぜひお早めにお申し込みください。

◆主催:NPO法人市民科学研究室・市民科学者育成塾 

◆協力:有限会社リボーン<エコツーリズム・ネットワーク>

 

 

【訪問先】

① 澤登ぶどう・キウイフルーツ品種研究所


写真は、日本生まれの山ぶどうの血を引く澤登ファミリーのオリジナル品種ワイングランド。農林水産省へは澤登ワイングランドとして種苗登録されたものです。
ワインやジュース向けの加工用に育成されたものですが、生食用として販売したところ、じわじわと人気が出てきました。1970年代に湿度に弱いブドウの農薬不使用栽培を実現するために、独自の雨よけハウスを開発して以来、当園では、半世紀以上に渡り、農薬も肥料も全く使用せず、耕運もしていません(※不耕起栽培下記URL参照)。
このようなブドウ栽培は、日本中探しても非常に少なく、ここではブドウと共に多種多様な生き物も暮らしています。もっとも自然に近い環境の中で育つブドウは、やさしい味で、後味もすっきり。世界農業遺産の現地審査において、農業生物多様性の説明会場ともなったブドウ園で、自然なぶどうの味をお楽しみください。

【参考サイト】
無農薬栽培ワイングランドの自然派ロゼワイン!フルーツグロアー澤登@山梨牧丘 | 日本山葡萄ワイン愛好会ホームページ (jwwfa.com)
耕さない農業に注目 一般社団法人日本食農連携機構 
YouTube動画 次代へ継承~甲州式ブドウ棚 峡東地域世界農業遺産推進協議会

② GIAHSに欠かせない灌漑システム水路:セギ(堰)


山梨県峡東地域は、世界農業遺産に認定された果樹農業システムの地です。そのシステムを支える重要な役割を果たすのが、セギと呼ばれる灌漑システム水路です。セギの水は用水としてだけでなく、動力としても活用されていたそうです。
写真にある西藤木の水車は、江戸時代末期に創設後、地域の協同水車として用いられ、昭和43年に放光寺の管理となるまで、この地域の産業、生活向上に大きな役割を果たしてきたそうです。ちなみに明治・大正時代の松里地区には30以上の水車があったとされています。
セギは、峡東地域の自然と人々の暮らしをつなぐ歴史的な遺産です。

【参考サイト】
西藤木の水車 豊かなセギの水を用いた土地の資産 やまなし歴史の道ツーリズム 公益社団法人やまなし観光推進機構
真言宗 智山派 高橋山 放光寺

③ 枯露柿(コロガキ)カーテンのある風景


山梨県の名産品といえば、枯露柿(ころがき)です。枯露柿は、大きめの柿を天日干しにしたもので、甘みが凝縮されています。枯露柿は、水分が50%前後で柔らかいものは「あんぽ柿」と呼ばれ、水分が25%から30%位で白い粉が吹いているものは「ころ柿」と呼ばれます。枯露柿は、干す期間も長めで、寒露や霜に当たることで熟成されます。
写真のように、11月から12月にかけて民家の軒先にかかる柿の天日干しは、オレンジのカーテンとなり、山梨県の風景を彩る秋の風情として人気です。
枯露柿は、そのまま食べるだけでなく、おせち料理などにも加工されます。

【参考サイト】
枯露柿 山梨県 | うちの郷土料理:農林水産省 (maff.go.jp)
甲州名産、至高の逸品「枯露柿」 甲州ライフ 甲州市移住支援ポータルサイト
YouTube動画 ころ柿の歴史を学ぼう ころ柿セミナー 峡東地域世界農業遺産推進協議会

④ 大善寺

大善寺は、奈良時代(養老2年718年)僧行基により開山されました。寺伝によると、行基が日川渓谷岩上で修行の折、葡萄を持った薬師如来が現れた。その姿を自ら刻み、大善寺を建立し、葡萄をこの地に伝えたとされており、甲州ぶどう発祥伝説の由来となっています。
また、大善寺は『ぶどう寺』とも呼ばれており、住職みずから境内で丹精込めて栽培したぶどうを使って醸造した赤と白のワインが客殿の売店にて数量限定で販売されています。ご参拝の記念にと購入される方も多いようです。

【参考URL】
真言宗智山派 ぶどう寺 国宝 柏尾山 大善寺
富士の国やまなし 山梨をもっと好きになるWebマガジン 大善寺(だいぜんじ) 公益社団法人やまなし観光推進機構
大善寺(ぶどう寺)文化財デジタルコンテンツ 文化庁

⑤ えんがわカフェ(2022年GIASHS審査のメニューを地元の食材で再現)

GIAHAS弁当とでも名付けましょうか。
縁側カフェも営んでいる地元のぶどう農家さんが、自家菜園や地元の季節の食材を用いて、昔から家庭で食べている料理を詰め合わせて用意する特別なお弁当です。
写真は2022年6月の現地調査の時に出されたもの、手作りこんにゃくとマイタケの煮物、しめ豆腐、旬の野菜の天ぷら、野ふきの佃煮、花豆、ナスとピーマンの油みそ、くるみご飯のおにぎり、干し柿のきんつば、桃のコンポートと旬のサクランボなど、14種類を楽しみました。これを季節に合わせて再現することで峡東地域の自然と人々の暮らしを感じることができるお弁当です。

【参考URL】
峡東地域世界農業遺産推進協議会 | Facebook(2022年7月14日)
山梨県峡東地域と滋賀県琵琶湖地域が世界農業遺産に認定 世界農業遺産(GIAHS)バックナンバー

⑥ 秋の勝沼ぶどうの丘(甲州市が運営するワイン畑を一望)

秋は、ぶどうとワインのまち・勝沼の最高の季節です。勝沼ぶどうの丘は、360度ぶどう畑に囲まれた絶景スポットです。一面に広がるぶどう畑は、秋になると色とりどりの実や葉を見せてくれます。この風景は、世界農業遺産に認定された果樹農業システムの一部でもあります。
勝沼ぶどうの丘では、地下のワインカーヴで約200銘柄のワインを試飲したり、展望ワインレストランでお料理と特産のワインを楽しんだりできます。また、高アルカリ泉質の天然温泉”天空の湯”でリラックスしたり、宿泊施設で一夜を過ごしたりもできます。
秋の勝沼ぶどうの丘は、ぶどうとワインのサンクチュアリです。

【参考URL】
甲州市勝沼 ぶどうの丘 
同上 過ごし方 
富士の国やまなし 山梨をもっと好きになるWebマガジン 甲州市勝沼ぶどうの丘 公益社団法人やまなし観光推進機構

●天ぷらバスについて

このツアーでは循環型社会のモデルを体験・啓蒙するため、BDF(バイオディーゼルフューエル)を使用する【天ぷらバス】に乗車します。BDFは廃食用油などから作られるカーボンニュートラルで環境負荷の低い燃料の一種とされていますが、近年台頭してきた持続可能な航空用燃料とされるSAF(Sustainable Aviation Fuel)と原材料が競合するため、その存続が危ぶまれています。※写真は今回予定している(有)リボーン社(https://reborn-japan.com/)の天ぷらバスの運行写真です。定員は48名のツアーバスですが、ゆったりとした旅を楽しんで頂くため30名でのツアーとして企画させて頂いております。

【参考URL】
環境技術解説(バイオディーゼル):環境展望台/国立環境研究所(2009年12月)
SDGsを知るSAF燃料(航空燃料)とは?原料や作り方・価格と企業の取り組み事例

【終了しました】9/29(金) 市民研エコスタディツアー「世界農業遺産(GIAHS)の旅」」への2件のフィードバック

  1. 近田 眞代

    山梨は子供を連れてよくいきました、
    日本のキゥイフルーツ栽培みてみたいです、

    返信
  2. 伊沢尚子

    一番印象深いのは、完全無農薬で有機栽培をしている澤登農園です。8種類ものブドウの食べ比べには興奮しました。「品種の多様性があれば病気で全滅することがない」ブドウが垂れ下がる棚の下でいろんなブドウを味わいながら、なるほどなあと深く納得しました。お土産に、日本の山ぶどうとかけあわせて澤登農園が作り出した、ワイングランドという品種のブドウ狩りをしました。自分でハサミで切り取るのですが、クモの巣だらけすぎて戸惑いました。でもこのクモは無農薬の証であり、クモが生きられるほどたくさんの虫がいるという、有機栽培ならではの生物多様性の証なのです。
    このとき林さんが、「ワイングランドはタネがうまい!」と感心していたのですが、私は「まあ苦くない程度かな」と思っただけでした。今や売られているブドウのほとんどは、おいしさを追求するあまりタネがありません。ところが、お土産に買ってきて家で食べたら、このパリパリ・カリカリ感が癖になり、とまらない美味しさでした。また、ガイドの中村さんが「ブドウは吸うもの」とおっしゃっていましたが、その通り! 粒をつまんでとろうとすると、皮がやぶれて手が汁でベタベタになるのです。というわけで、5粒ずつくらいで枝を切り、枝ごと口元に持っていって粒を口で吸うという伝統的な食べ方をマスターしました。
    ランチをいただいた場所にも大善寺にも、マスカットの鉢植えがありました。スーパーにあるような立派な房が3つもついています。背の低い木に不釣り合いな大きな房、実もパンパンでビニール製みたい・・・澤登さんのブドウのあとだと、見慣れたマスカットが偽物に見えるのでした。
    その鉢植えの葉にも、他のブドウ畑の葉にも、白い汚れが点々とついていました。これはたぶん農薬が流れ落ちないように混ぜてある展着剤だと思います。澤登農園は、雨が当たって病気にならないように、上部に雨除けシートが張っています。上部だけでなく周りも網で囲っています。澤登さんのブドウの葉に白い汚れがないのは、もともと農薬を使っていないし、隣接する農園でまいた農薬がかからないように農薬除け網で囲っているからでしょうね。
    ガイドの中村さんから甲州式ぶどう棚の説明がありました。これは、棚の支柱を農地の外側にななめに張り出して立て、棚の面積を稼ぐ方法で、世界農業遺産の条件である“地域の伝統技術”にあたるそうです。でも観光バスがブドウ棚の下に止まれるように作られた高い棚は、甲州式ではありません。
    山梨の峡東地域が世界農業遺産に認定されたのは、 “農業生物多様性”や“地域の伝統的な知識システム”などの条件にあてはまっていたからで、それは澤登農園のおかげだろうと思い込んでいました。ところが、配られた世界農業遺産のカラフルなファイルには有機栽培の素晴らしさはうたっていません。唯一、草生栽培という用語があり、これは澤登農園のふかふかな土と生物多様性をうんでいる栽培法ですが、他の農園でも草生栽培をしているのでしょうか? 
    配られた甲州市フルーツマップに、澤登農園は載っていません。世界農業遺産だからこのツアーに参加したいと思ったのですが、澤登農園の理想的な有機栽培との間にはギャップがあるのかもしれないなあと思いました。

    もう一つ、寒天デザートのことも書いておきたいです。地元野菜の味わい深いランチがおいしくて、うっとりと幸せな気分に浸っていたのですが、デザートの名前を聞いて驚きました。「えっ、べろべろ? 今、べろべろ って言ったよね??」
    ランチを作ってくださった三枝さんいわく「今日はブドウのジャムで作りましたが、べろべろは、卵を流しこんで作ったりもします。」とのこと。これに卵が加わるってそれは、デザートなのか? 甘いおかずなのか? べろべろ という言葉のインパクトと、甘い卵のイメージが一致しません。家に帰り、とりあえず べろべろ だけで検索したら、なんと一発でヒットしました。農林水産省のHP『うちの郷土料理』です。卵の寒天寄せを、べろべろ というのだそうです。ただ、山梨県ではなく石川県とありました。
    三枝さんのお母様は石川生まれかもしれない、ブドウ寒天を べろべろ と呼ぶのは 三枝家だけかもしれない。いやいや、1000年のブドウ栽培の歴史のある山梨だもの、卵寒天がブドウ寒天になるのも当然です。山梨育ちの澤登さんにも聞いてみたくなりました。

    ・・・と、次から次へと好奇心が刺激され、しかも美味しくて楽しい、最高のツアーでした。ありがとうございました。

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