商品テストの現状 ~米国、英国、ドイツと日本を比較して

投稿者: | 2006年7月17日

JST 助成研究報告
商品テストの現状~米国、英国、ドイツと日本を比較して

牧尚史+ 上田昌文

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1. はじめに

 商品テストとは、ある商品について、欠陥はないか、ふれこみどおりの機能をもっているか、使いやすいか、価格は適正か、同類商品の中での優劣についてなどを検査することにより、消費者に商品選択の情報を提供することを目的とする商品検査のことである。消費者行政機関、消費者団体などの中立的な機関によって実施されることが多い。米国では、1927 年に『あなたのお金の価値』を出版したF・J・シュリンクらによって、世界初の商品テスト機関であるConsumers Research が創設された後、1936 年にはConsumers Union が誕生し、商品の銘柄別比較テストを行い、『Consumer Reports』にその結果を発表した。現在もその活動は活発で、発行部数は約400万部に上る。

 この他にも『Which?』(英)、『test』(独)、『たしかな目』(日)など、各国で様々な商品テストの情報提供誌が刊行されており、欧米では、商品テストの結果が、消費者が商品を選択する際に有効活用されている。しかし日本においては、一般の消費者には商品テストの存在すら広く知られているようには思えないし、商品テストの結果が商品の選択に十分に活かされているとは言えないのではないだろうか。

 本稿では、欧米と日本の商品テストについて概説し、日本の商品テストのやり方にどのような課題があるのかを考察する。

2. 欧米における商品テスト機関

2-1.Consumers Union(CU)(米国)

 1936 年に発足。代表的な商品テスト情報提供誌として『Consumer Reports』がある。発行部数は400 万部と、商品テスト情報提供誌としては最も多い。現在は、1997年11 月に発足した、Consumer Reports.org というWebサイト1)でも、商品テストや、それに基づく商品やサービスの格付けや推薦を行っており、2005 年8 月に購読者数が200 万人を達成した。テスト対象は、電気製品、自動車、電子機器・コンピュータ、家庭用品、健康・フィットネス用品、赤ちゃん・子供用品、食品、消費者金融、旅行といったもので、多岐にわたるカテゴリーを網羅していると言える。独立性、中立性を保つため、CU は外部広告や無料テストサンプルは一切受け付けておらず、資金の基盤は購読料である。

 Consumer Reports.org のサイト訪問者は、安全性の警告、リコール、ネットショッピングのe-Ratings(オンライン商店主の、セキュリティ、プラバシー、配送、返品、顧客サービスへの姿勢、商品を見る場合の使いやすさ、検索機能、発注、商品の充実度と在庫管理、個人化の程度、特別な機能などの点を評価したもの)、関連情報サイトなどを無料で利用することができる。

 Consumer Reports.org で購読者が利用できる主要なサービスは、以下のとおり。

* Consumer Reports の公平な、商品・サービスの格付けや推薦
* 最新のConsumer Reports から選ばれた商品・サービス
* 検索できる過去4 年間の格付けがあるアーカイブ
* 商品信頼性、自動車信頼性に関するConsumer Reportsの独占レポート
* 総合的な意思決定ガイド
* 専門家の協議に参加できる可能性がある。
* 消費者やユーザーのレビュー

 次にテスト方法を紹介する。テストサンプルとして使う商品は、市場調査や購読者からの情報を踏まえて、買い物代理人(国中に150 人)がテスト対象商品のすべてを購入し、国民テスト研究センター(National Testing and Research Center)で独自にテストを行う。主要7 部門(電気製品、自動車テスト、赤ちゃん・子供用品、電子機器、食品、健康と家族、娯楽と家の修繕)で100
人以上の専門家がおり、政府や産業の基準だけでなく、CU の専門家が適用すべきだと考える基準にも基づいてテストを行っている。また、研究室内でのテストを補うため、調査研究部門は、年に1 度のアンケートを通じて、研究室外における数十万人の購読者が、その商品やサービスを利用した際に経験したことについてのデータを収集し、それらを、自動車の修理頻度指標やその他の商品
信頼性レポートの基盤として利用している。

 このようにして得られた商品テストの結果は、雑誌、Web サイト、ニュースレター、ラジオ番組、テレビ番組等を用いて、何百万人以上の消費者に提供される。その際、商品の格付けや推薦を行っており、『Consumer Reports』の格付けによって商品の売れ行きが決まると言われるほど、大きな影響力を持っている。『Consumer Reports』に推薦されることがメーカーにとっては大きな宣伝効果となっている。興味深い例として、自動車の商品テスト結果を用いて、Web サイト上で自分のニーズに合った自動車を購入できるというサービスも提供している(サンプルはhttp://www.consumerreports.org/main/cbk/commerce/agreement.jsp で利用可能)。

【続きは上記PDFでお読みください】

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