日本の宇宙開発史と電気ロケットの話

投稿者: | 2019年4月8日

随時連載 街場のサイエンスカフェ

日本の宇宙開発史と電気ロケットの話

島田久美子(市民科学研究室会員)

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概要

3月10日(日)、午後1時30分から午後3時30分まで、静岡市七間町のコミュニティーホールミライエリアン2階会議室で、街場のサイエンスカフェを実施した。実施主体は、静岡サイエンスラボという静岡市科学館「る・く・る」の科学コミュニケーター養成講座の修了生有志が組織する親睦団体だ。静岡サイエンスラボは、る・く・るでボランティアをしている食品会社のOB、静岡大学博士号を持つバングラデイッュ人女性、静岡環境史ミュージアムでボランティアをしながらサイエンスコミュニケーターを目指す青年、科学技術政策などを研究している市民科学研究室会員の私の4人で構成されており、科学技術をメインにサイエンスカフェをやっていこうということで、第一回はトヨタの福祉車両の設計者を招いて、双方向でカフェを実施、今回が第二回となる。今回は、浜松北高出身で東京大学名誉教授の荒川義博先生を招き、電気ロケットの研究についてと、荒川先生が現在取り組んでいる太陽光発電の電力の酸化アルミニウムを用いた電池の話をして頂いた。

当日は、大学生から静岡県のオープンデータ開発の担当者、主婦やリタイヤー組まで計23人参加で、ロケット開発の第一人者からの研究のレクチャーを聞いた後、お茶を飲み、クッキーや煎餅を食べながら科学研究者との対話を楽しんだ。参加者の感想の中には、「難しいグラフでの理論の説明もあって、久しぶりに刺激になった」「ロケットの仕組みが詳しく分って、宇宙の興味が増した」「元々宇宙やロケットは好きで興味があったが、楽しい一日となり、更に科学への興味が膨らんだ」「先生の話とは外れた質問をして恥ずかしかったが、先生が丁寧に答えてくれて安心した」「未来の宇宙に夢が広がった。こんな夢みたいな研究も実際されているのを知って楽しかった」などがあり、概ね好評だった。

ロケットの基礎知識と先生が研究を始めた理由

ロケットの種類を大別すると、化学ロケットと電気ロケット、原子力ロケットがあり、化学ロケットは打ち上げなどの際に見られる推進力の大きなもの、電気ロケットは宇宙空間などで使われる持続力の高いもの、原子力ロケットは実用化されていない。化学ロケットを推進剤で大別すると、固体燃料型、液体燃料型、ハイブリッド型に分けられ、形態では単段式、多段式のものになる。第一宇宙速度を得るために人工衛星の打ち上げは全て多段式ロケットとなっている。冒頭で、これらの基礎知識を主催団体がレクチャーするとともに、戦後の日本の宇宙開発史を概観した。宇宙開発史に関しては、東大の糸川教授のペンシルロケットから、ラムダロケット、イプシロンロケット、HⅠロケット、HⅡロケット、はやぶさの帰還までを写真とともに概略、研究機関についても、日米貿易摩擦で発動したスーパー301条後の混乱、3機関の統合で生まれた現在のJAXAに至るまでの経緯を説明した。

荒川先生がロケットに興味を持ったのは中学生時代で、疲労から腎炎になって数ヶ月療養生活を送っていた際に、ロケットの本を読んだのがきっかけだという。糸川教授のペンシルロケットが開発されたニュースにも影響され鉛筆大のロケット、水道管大のロケットなどを自作するようになり、ロケット研究には物理と数学が必要だということを知り、一生懸命に勉強するようになったという。大学は東京大学理科Ⅰ類に進学し、進学振り分けで工学部に進み、ロケット研究に従事することになった。ロケット研究は、ミサイル開発技術にもつながる化学ロケットは研究予算規模の大きいアメリカやソ連にはかなわないため、予算規模が10倍程度しか差がない電気ロケットの研究を選択することにしたという。現在では、電気ロケット研究も、軍事衛星技術などにも応用可能なため、全く軍事利用されないとうことではないが、荒川先生が研究を始めた頃は、軍事目的とは違った研究分野という印象が強かったという。対照的に、アメリカのロケット開発の予算は、多くは空軍からのものであり、ミサイル開発や軍事衛星の開発の性格が強いのだという。

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