「水と土プロジェクト」を振り返って

投稿者: | 2004年4月4日

大櫛崇
pdf版はwatersoil_011.pdf
市民科学研究室の「水と土プロジェクト」を振り返ってみて、まずは私がこのプロジェクトに参加した理由から話したいと思います。
 「水と土プロジェクト」のプロジェクトメンバ-の募集が行われていた当時、私は東京理科大学理学部物理学科の4年で、加納誠先生の研究室で「水のクラスタ-」についての研究を行っていました。その水についての研究のことで加納先生から紹介していただいたのが市民科学研究室の「水と土プロジェクト」でした。私自身、我々の最も身近にある物質といってもいい「水と土」について大変興味があり、また私の卒業研究にも生かせると思いましたので、この「水と土プロジェクト」に参加することにしました。
市民科学研究室で「水と土」について研究していくうちに、私は自分が中途半端な存在であることに気付きました。大学で専門的な研究をしているとはいえ、それらを完全に理解したわけではなく、まして他人に対してきちんと説明ができませんでした。また私の人生23年間(当時)で身に付けた一般教養はかなり乏しく、これらのどちらにおいても私は中途半端でありました。つまり結局「水と土プロジェクト」をやるにいたって私は一からやり直しでした。基礎的な参考書や資料を調べて発表することしか私にはできませんでした。
 ここからは私が夏に市民科学研究室の「水と土プロジェクト水の科学編~地球における水~」で発表した内容を簡単に書きたいと思います。水は我々の最も身近にある物質の一つですが、今この地球上にある大量の水は一体どこからやってきたのでしょうか?このことについてのまず一つに「地中からのしみ出し説」というものがあります。この説は、水分子を構成する水素原子と酸素原子はこの宇宙に大量にあるため、地球誕生のときから岩石の中に大量の水が含まれており、火山活動により水蒸気として大気中に放出され、雨を降らせ海ができた、というものです。もう一つは「彗星からの飛来説」で、これは彗星の中には大量の水が含まれており、この彗星が地球形成時に大量に降り注ぎ水をもたらしたのでは?というものです。この分野については今なお研究が進められています。このようにしてもたらされた水は、太陽との絶妙な位置関係にある地球によって何千万年もの間、存在しつづけることになります。地球に存在している水の特徴の一つに「循環」があります。固体・液体・気体と水が相を変えて循環することにより地球環境は特徴付けられているといえます。
 では、この地球上にある水の一体どれだけが我々に使えるのでしょうか? 我々が利用できる水は一般に塩分を含んでいない淡水です。地球に存在する水の大部分は塩分を含んでいる海水でありますから、淡水がごくわずかしかないことは容易に想像がつきます。しかもその淡水の大部分は我々が利用できない氷河であります。我々は雨・川・湖・地下水の一部の水しか使えないのです。
 我々が今のまま水を使い続ければ近い将来淡水は現在の60%になるという見方もあります。我々はもっと我々の身近にある水について見直していくべきではないでしょうか?
 以上が私が夏に発表した内容のおおまかなものです。その後の半年間私は大学の研究室で「水のクラスタ-」について研究をしてきました。我々の研究室での「水のクラスタ-」の研究は始まったばかりで今現在も続いていますが、私がこの1年間で研究してきたことを簡単に話したいと思います。
 クラスタ-とは原子とバルクの中間にある分子の集まり具合のことを言います。もっとわかり易くいうならば、物質を構成する一つ一つの物体が原子、バルクとは我々が実際に見ている物質そのものと考えてもらえばよいと思います。クラスタ-はそれらの間、分子数個から数百個で構成される領域のものです。クラスタ-にもいろいろ種類があって、水クラスタ-は水素結合クラスタ-の類にはいります。水分子は液体の場合、水素結合により水分子同士が結合して2量体、3量体または氷のような6員環構造をとります(液体の場合これらの構造が時々刻々と変わる)。
 今回我々はFT-IR(フーリエ変換赤外分光)という装置を使いこのクラスタ-の存在を確認する実験を行いました。結果としては水クラスタ-が存在するデ-タが得られたと思いますが、まだまだ深い考察と実験が必要だと思います。
 私は今春から千葉大学で地下水の研究に取り組みます。これから先、市民科学研究室の「水と土プロジェクト」において、今から取り組む研究を生かすことができれば、と思っています。
(どよう便り 75号 2004年4月)

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