いまこそ、ボトムアップのための政治を

投稿者: | 2010年6月26日

林 衛(市民研・監事)

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 脱官僚の市民社会づくりを掲げた鳩山政権の船出は、好況期に保守党政権から引き継いだイギリスでのブレア労働党政権誕生時と比べても、厳しいと予想された。小泉構造改革による疲弊からの回復をめざし、自公政権が税収を大幅に上回る国家財政を続けていたからである。しかし、新政策のための予算確保のための矛先が自分自身に向けられたのには驚いた。

 2010年度予算概算要求に対する「事業仕分け」で、大学担当者として4年間 取り組んできた理科支援員等配置事業が廃止判定を受けてしまったのだ (1400通の反対意見がパブリック・コメントに寄せられ、予算案では復活・縮減したもののダメージは大きい)。蓮舫仕分け人は全小学校が対象にならない「不平等」な制度であると指摘したが、1 校1000万円規模の予算をほんの3%の高校に重点投資するスーパーサイエンスハイスクールは、仕分けの対象にならず、14億円から20億円へと予算大幅増である。

 理科支援員の全国での予算規模は縮減前の2009年度で24億円。例えば、富山県内では正規教員1.5人分の人権費程度の予算で、全小学校200校のうち支 援を希望するほぼすべての94校で学生や地域人材が5、6年生の理科授業の準備,後片付け、補助などで活躍するなど(写真)、相当の平等性と、予算の有効利用が実現していた。教育実習よりも長期にわたる理科支援員の経験をいかし、教員となって現場に飛び込む学生の増加といった波及効果も大きい。財政事情が厳しいからこそ、このように地域の実状にあわせボトムアップに活用しがいのあるしくみに意義をみいだせるはずなのだが、詳細を知らない仕分け人は「裁断」というトップダウンの目的に忠実にならざるをえな かったのか。

 とはいえ、民主党政権を支えているのは、トップダウンでは解決困難な問題に道をつけるためのボトムアップを可能にする社会への期待感あるいは必然性なのだと思う。理科支援員に限らず、ボトムアップの模索を続けたい。

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