「市民が作る”改訂版・科学技術基本法”」に参加して

投稿者: | 1997年10月26日

「市民が作る”改訂版・科学技術基本法”」に参加して

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第83回の研究発表は、藤田さんが科学技術基本法制定の背景を日本の科学技術政策の歴史をふまえながら簡単に紹介し、上田が現在の日本の科学技術政策の行政機構とその特色を短くまとめ、そして平川さんが”改訂版”の骨子を原案として提示する、というものでした。最後の骨子については、その場での議論をふまえてあたらめて文章として整理しました(今号の平川さんの原稿参照)。ここでは、当日参加した中の3人の方の意見を掲載いたします。

十月の講座に参加した私の感想をいくつかあげてみます。一つは、科学技術と人々の生活との関係は、家族がバラバラに生活できるようになった・・・つまり朝起きてから寝るまでの生活の一場面、一場面を電化製品と各種サービスに置き換えていく作業だったといえる。良いか悪いかの判断は別にして、これは事実である。そして、お金と物の流通が今より少なかったとき、家族は協力することで生活を成り立たせていた。まわりくどい言い方になってしまったが、つまり「新しい技術の開発と実用化」が即「豊かな社会の実現」にイコールで繋がって行くわけではないだろうと言う事だ。(敢えてひにくを込めて言うならば、確かに物と情報は溢れるほど豊かになったけど、内面の豊かなひとはものすごく減ってしまった。まるで、綺麗なちょうちょを捕まえたくて追いかけているうちに、花壇をぐちゃぐちゃにしてしまった人=日本人だね。)

もう一つは、国の法案の中に何度か出てくる「自然との調和を図りつつ・・・」について。深く考えれば考えるほど難しいテーマなのに、具体的な事はほとんど触れず、これはどう見てもやる気はないと感じざるを得ない。多くの環境問題の原因が、科学技術の実用化によってもたらされているのに、今の路線のままでは更なる悪い結果が予測される。環境問題は、新技術による解決はあまり期待できない。それよりも、もっと根本の考え方・哲学が変わらねば大きな前進はないと考えている。(皆さんは、どうお考えですか?)その意味で、平川さんの私案には良い視点が沢山入っていたと思う。
【鎌形正樹】

 

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