土曜講座 干潟プロジェクト 東京湾ハゼサミットに参加して

投稿者: | 2000年4月16日

土曜講座 干潟プロジェクト

東京湾ハゼサミットに参加して

後藤高暁

doyou_protec200008.pdf

九州の田中浩朗さん(和白干潟を守る会・事務局長)に教えて頂いた「千葉の干潟を守る会」のホームページを開いたら大きく「東京湾ハゼサミット開催」の画面が飛び込んできました。干潟ツアーの企画はまず近場の海と親しくなることだ考えていたので、早速に上田さんと参加してきました。参加団体は、三番瀬・旧有明16万坪など現実に干潟・浅場を守るために戦っている諸団体をはじめとし、各所の環境保護団体・野鳥の会・釣りの会など27団体と後援する3団体です。土曜講座もその一団体としてレジメにも載って、参加しました。
サミットの司会は雑誌「釣り人」の社長鈴木氏は野趣フンプンの人で今まで無関心だった釣り人も結集すれば大変な数になると、ガラッパチな司会ぶりです。パネラーを紹介すると工藤さんは神奈川県水産総合研究所の主任研究員ですが、官にいながら東京湾の生物と保護の大切さについて学問的に説明して運動を下支えしてくれました。安田さんは船宿の主人です。今臨海副都心への交通路として埋め立てられそうな旧有明貯木場の16万坪で魚を一生懸命穫って調べれば調べるほどそこの豊かさ大切さを知り、無意味な臨海副都心の道路によって埋め立てられることに猛烈な反対運動をしています。日本自然保護協会の開発法子(面白い名前)さんは一女性ながら三番瀬運動の最初から係わり今は環境保護団体の中心人物です。皆自分の商売・立場を忘れて、と言うより最大限に発揮して活動している市民です。会場には諌早・高尾その他の環境保護に戦う団体のパンフや署名とか、活きたハゼの展示とか熱気に溢れていました。
話の内容を全部お伝えすれば良いのですが、長くなり私の筆力を超えるので、幾つかをQ&Aで紹介しましょう。ご自分でも考えてください。

Q1. 東京湾には干潟がどのくらい残っているのかな?
S30年代から急速に埋め立てられ92%はすでに無く、1000ha程が残るのみ。葛西沖の三枚洲、木更津の盤洲、富津の富津洲(半分)、習志野の谷津、及び三番瀬の5カ所しかありません。谷津や行徳の鳥達はこれらを行き来しているので三番瀬と同じ運命の下にあります。

Q2.干潟や浅瀬にどんな生き物がいるのでしょうか?
浅瀬は太陽が注ぎ込み、酸素が豊富で適度の栄養がある。砂地は魚の産卵地になり、泥地はゴカイなど底生生物が棲む。ここは生物が生まれ稚魚が育つ場所、餌を採り、遠来の渡り鳥が羽を休める等々生物の生活の原点になる場所です。三番瀬調査専門委員会の報告では、鳥類89種、植物プランクトン302種、底生生物155種、魚101種合計647種の生物が確認されています。(飛来する渡鳥や回遊魚もあり、もっと大きな数種類・数になるでしょう)この様に豊富な生き物の命は埋め立てはおろか、一寸した環境の破壊で絶たれてしまいます。先頃の大雨で河川にある排水処理場から溢れた水で物凄い数の魚が死んだ写真を見ましたが、その時でも旧有明貯木場の16万坪は影響を受けなかったそうです。安田さんは人為的な設備や対策の弱さを実感すると共に自然の力の強さに感心したと言っていましたが、埋め立てられてはイチコロです。

Q.3 東京湾全体はどうなっているのかな?
埋め立て図を見てごらんなさい。殆どはコンクリートの岸壁で固められている感じです。湾全体は面積の20%が埋め立てられたと資料に出ているが、自然の岸は無いに等しい。鳥を見に行っても大企業の私有地だから近づくことも出来ない場所が多いのです。一体東京湾は誰の物なんですか?人間様だけ物ではないことは、Q2でおわかりでしょうが、人間にとっても県や都知事が判を押せば勝手にできる、しかも架空の開発や企業・ゼネコンの私利私欲の後押しをしてこの様にしてしまったとは。まさに喝!喝!喝!……ですよね。埋め立てには陸の土地が削られ土砂や浄化されない汚水が流れ込む。海底から大量に砂を採るから底には大きな穴が無数に開いていますそこにたまった有機物はそのまま貧酸素水塊をつくりやがて浮き出すと生物を一溜まりもなく殺してしまいます。そのようなマイナスを誰が浄化しているのでしょうか。それに大きな役割を果たしているのが、豊富な空気と暖かさがある浅場・干潟の生物です。有機質等から発生したプランクトンは赤潮などの元になりますが、浅場では貝類・カニ・ゴカイ等無数の生物がそれをせっせと食べています。大変大きな浄化力なのですそれを食べる鳥、魚、……と生物連鎖が拡がり豊富な海が形成されます。東京湾も一頃の大変な汚染から大分立ち直ってはきています。しかしそこで貴重な浅場・干潟をこれ以上無くしては大変なことになります。

Q4.何故ハゼなの?
私の子供の頃は秋になると遠浅にハゼ釣りの人・子供が林立し、一人何束(一そくは100匹)も釣るのです。餌がなくても赤い物でもつければ釣れた。それでも湧くようにしてハゼが居ました。東京湾っ子の郷里みたいな大衆魚です。今でも一番身近で多少の海の汚れにも強い魚です。一時の汚染で激減・絶滅の声もあった位ですが、また戻って来ています。だから皆で頑張れと応援してやりたい魚の代表として「ハゼ」となったそうです。サミットとは偉そうだな!もっと大衆的な集まりだろうとの声もあったのですが、心意気としてはこれくらいでいいと思います。東京湾には稀少種も含めて6種類のハゼがいます。マハゼがその代表です。

Q5.我々は何をすべきなのでしょうか?
最近環境保護の市民運動が大分行政を動かすようにはなりました。しかし開発の亡霊や利権の暴力はは根強く、諌早の例ばかりか、旧有明16万坪は風前の灯火だし、三番瀬も縮小の餌で強行しようとしているし、サミットにも沢山の問題を抱えた団体が事情を訴えていました。普段生活に係わりのないって思っていた俺達ってどうすりゃいいの?? 干潟ツアーもこの疑問から始めましょう。まず皆それぞれで考えて下さい。多分それぞれの思考や生活実感で答えは違ってくるでしょうが、意見を交換しながら大きな流れを作っていきたいと思います。私が提案するのは、少しでも多く自分で実際に見て聞いて欲しいと言うことです。感情を動かし行動にまで自分を動かすためには是非必要な事と思います。

(後記)この様な話に対し「俺は鳥には興味がないからな!」とそっぽを向く人も多いのです(土曜講座にはいないでしょうが)虫なんかに対してはほぼ100%です。一歩譲っても人が人らしく?生活するのに、どんなに自然との係わりが大切を実感している人(世代)がだんだんいなくなっている様に思います。昨今の心不毛な数々の事件の遠因は・近因はそこに根ざしていると私は確信しています。自分の知っている祖父母・親・自分・子・孫の時代を追うにつけ、自然が多い時代、少ない世代から居ない世代に速に変わって来ているから、分からないのも無理はないとは思います。だからと言って他人に急に自分の思いを押し付けてもいけないと反省しています。まだ自然が残っている内に手遅れにならない内に皆で体験し考えて行きましょう、共に!!

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です