ナノ毒性クライシスの検証

投稿者: | 2013年4月16日
市民研主催・市民科学講座特別シンポジウム「ナノ粒子の健康リスク」配布資料
ナノ毒性クライシスの検証
小林 剛

pdfはこちらから→csijnewsletter_017_kobayashi_01.pdf

1. 日本におけるナノ毒性問題の特異性
我が国のナノテクノロジーの開発能力は世界でもトップクラスといわれ、喜ばしい限りである。その画期的なイノベーションと、巨額の経済効果の予測により、ナノテクノロジーは「産業のコメ」と大きく期待されている。

しかし、日本におけるナノ毒性研究の周辺には、国際常識から見て極めて特異な問題が多い。我が国の経済産業界では、ナノ毒性の存在を語ることまでもタブー視され、産官学の分野においては「忌避感」の充満が常態化し、「ナノテク村」の存在が垣間見えている。現実問題として、ナノ毒性を主題とする寄稿は敬遠され、出版もままならない。
さらに、奇怪なことに、日本の主要メディアは、2009年夏、中国で発生したナノ塗料作業における2名の女子作業者の労災事故死について全く報道せず、折角の教訓を学ぶ機会を故意に放棄した。

2. ナノ毒性研究体制の暗部
日本における最大規模 (5年間20億円)の国営ナノ毒性研究は、主管官庁の環境・厚生労働・文部科学省などの担当ではなく、何故か、産業振興担当省の主導で実施されたことは、研究の独立性や透明性の点から極めて不自然であり、特異的かつ懐疑的である。
また、ナノ毒性研究には、優れて学際的な取り組みが不可欠であるにもかかわらず、研究助成業務担当者は理工学系出身者のみで、医学生物学的素養に乏しく、国際的に合意されている「OECD化学物質テストガイドライン」の存在さえ知らず、適正な判断ができない場合が多い。

【続きは上記pdfファイルでお読み下さい。】

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