「市民科学」第18号(2008年7月)CNN/ラリー・LK・ライブ 携帯電話と癌とのあいだに関連はあるか?

投稿者: | 2008年7月5日

写図表あり
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「市民科学」第18号(2008年7月)CNN/ラリー・LK・ライブ
携帯電話と癌とのあいだに関連はあるか?
2008年5月27日放送
【放送記録の全文:翻訳は杉野実+上田昌文】
携帯電話電磁波によって脳腫瘍のリスクが高まるかもしれないとの懸念があることは、『市民科学』第16号の「子どもと携帯電話の気がかりな話」でも紹介した。ここでは、ラリー・キングが番組ホストを務める米国CNNの看板トーク番組『ラリー・キング・ライブ』(Larry King Live、生放送の1時間番組)で最近この問題が取り上げられたので、ウェブで公開されているその記録の全文の日本語訳を掲載する。
ラリー・キング(司会、以下LK):今夜は「携帯電話と癌」です。関連はあるのでしょうか。ジョニー・コクラン氏の未亡人が、その没後はじめて公衆のためにおはなしされます。高名な弁護士であり、3児の父でもあったジョニー氏は、脳腫瘍のために67歳でなくなりました。携帯電話のせいなのでしょうか。携帯電話産業は巨大であり、大論争がまきおこっています。2億5500万人の利用者が、その危険について知りたがっています。両方の立場の専門家がここにおられますが、それについてはこのあとの「ラリー・キング・ライブ」をひきつづきご覧ください。まずは故ジョニー・コクラン弁護士の未亡人デール・コクランさんをおむかえします。わが国の神経外科の第一人者であるキース・ブラック博士もここにおられます。博士はセダーズ・シナイにあるマキシン・ダンニッツ神経外科研究所の、所長であり神経外科部長でもありますが、ジョニー・コクラン氏の主治医でもありました。のちほど携帯電話についての議論をおこないますが、それにはわたしどもの局の専門家サンジャイ・グプタ博士にもくわわってもらいます。ジョニー弁護士は2005年3月29日に脳腫瘍でなくなりました。それ以来はじめてのデールさんの会見です。デールさん、ご主人がおかしくなったのはどの辺からですか。
デール・コクラン(ジョニー・コクラン氏未亡人):記憶欠落が最初にありました。家の電話番号がわからないから、わたしに電話をかけるようにと秘書にいったのです。そして……
LK:ご主人はそれを忘れてしまいましたか、それとも心配なさいましたか。
コクラン:主人が電話番号を忘れたということを、わたしはすぐに心配しました。そこで1日か2日のうちに、すぐに先生のところにつれていったのです。
LK:ブラック先生、記憶欠落は心配すべきことなのでしょうか。
キース・ブラック(ジョンズ・ホプキンス大学セダーズ・シナイ医療センター神経外科医):ラリーさん、記憶欠落は心配のたねでありえます。つまり脳のどのような機能にも、脳腫瘍の症状があらわれうるということです。
LK:ということは、いかなる症状もみのがすな、と?
ブラック:ええ、記憶・言語・感覚・運動に関するあらゆる症状をね。
LK:頭痛も?
ブラック:はい。ご存じかもしれませんが、成人の脳腫瘍でもっともありふれた症状は、新規の発作と頭痛なのです。
LK:テッド・ケネディ氏のように?
ブラック:テッド・ケネディ上院議員のようにですね。
LK:ジョニー・コクラン氏はおそらくアメリカでもっとも有名な弁護士のひとりでした。最高の弁護士のひとりだったかもしれません。有名人でもあり、この番組にもよくでていただきました。録画を少しご覧いただきましょう。
【録画再生】
ジョニー・コクラン(弁護士):それには意味がない。適合しない。適合しない。無罪にすべきだ。
匿名女性:わたしたち当裁判の陪審員は被告人オレンサル・ジェームズ・シンプソンを、殺人の容疑について無罪とします。
コクラン弁護士:マイケル・ジャクソンの犯罪はなんらみとめられないというのが、この事件に関する決定だ。これはシーン・コムズにとって爽快な勝利だ。本当にわわわれすべての勝利だ。ご静聴ありがとう。みなさんに祝福がありますように。
【再生終了】
LK:シンプソン判決の翌日に、ジョニーさんはこの番組に出演しました。シンプソン氏が放送中に電話をかけてきたこともあって、歴史的なできごとになりました。ところで先生は、どのようにしてかれの主治医になったのですか。
ブラック:もともとしたしい友人だったのですよ、ラリーさん。夏休みには家族ぐるみで一緒に旅行したりしていました。実は腫瘍が悪化する数年前に、より良性の腫瘍を治療していたこともあったのです。
LK:脳ですか。
ブラック:そうですね、頭蓋です。
LK:でもそれが死の兆候ではなかったでしょう。
ブラック:ちがいますね。そのあとの悪性腫瘍とも無関係です。
LK:悪性腫瘍はどうしてわかったのですか。
ブラック:デールさんもいうように、ジョニーさんの助手が、記憶とそれから発話に困難があるといって、わたしに電話をかけてきたのです。かれはそのときニューヨークにいてそこの病院に入院しました。そこで断層撮影その他の検査をしました。脳に異常が発見されました。でも撮影画像の異常がなにを意味しているのかははっきりしませんでした。わたしははじめ感染症かと思いました。それでジョニーさんにもデールさんにも話して、ロサンゼルスにもどってきてらって、さらに医学的な検査をすすめたのです。
LK:生化学検査をしなければならなかった?
ブラック:そのとおり、生検をしました。
LK:デールさん、ご主人がすでに末期だとわかっていましたか。
コクラン:末期っていやなことばですね。非常に深刻な悪性腫瘍だとはわかっていましたが、末期だと思ったことはありません。
LK:どのくらい深刻かはわかっていましたか。
コクラン:深刻だとはわかっていましたが、治療はできるし、そのためにあらゆる努力をしようと思っていました。
LK:どんな治療をしましたか。手術はしたのですよね。
ブラック:まずね、ラリーさん、ジョニーさんの腫瘍は、手術するには危険と思われる部位にあったのですよ。言語にとって重要な部位で……ケネディ上院議員の場合と非常に近い場所だったと想像します。言語の理解力と、記憶をつかさどる部位でした。だから、断層画像で発見できたすべての腫瘍を除去する手術は、はじめは選択肢にありませんでした。腫瘍とたたかうには、ほかの手段をとるしかなかったのです。
LK:でもそのあとで手術はしていますよね。
ブラック:はい、あとで実験的な治療のひとつとして、手術をしています。
LK:ジョニーさんはみんなに好かれていましたよね。かれをきらう人はいませんでした。相手方の弁護士や、検察官にさえも……。
コクラン:はい。
LK:みんなジョニー・コクランが好きだった。
コクラン:ええ。
LK:かれの最後の日々はどんなでしたか。家でなくなったのですか。
コクラン:家でなくなりました。家族みんながそこにいました。わたしと子どもたち、それにかれのお父さんや姉妹など、何年も一緒にいた者すべてがいました。
LK:お父さんはまだお達者で?
コクラン:健在です。同居しています。91歳になります、うれしいですね。
LK:ご主人には、自分が死ぬということがわかっていましたか。
コクラン:いいですか、それはとてもしずかな時期でした。深刻だとわかってはいたのですが、わたしたちは、かれの最後の日々には、かれを快適にすごさせ、かれの生活の質をたもつようにこころがけていました。
LK:先生、かれは痛みは感じていたのでしょうか。
ブラック:ラリーさん、それは多分ないと思いますよ。
LK:痛みはなかった?
ブラック:脳自体には感覚はないのですよ。他の部位に感覚をもたらすのは脳ですけど。だから痛みはないはずです。
LK:それでは、デールさんとブラック先生は、ジョニー・コクランさんの脳腫瘍と、携帯電話とのあいだに関連があると考えているのでしょうか。ジョニーさんは携帯電話を非常によく使っていました。休憩をはさんで検討しましょう。
【CM】
【録画再生】
ティファニー・コクラン・エドワーズ(ジョニー・コクラン氏の娘):父は本当に、本当に最高の人でした。わたしには父がすべてでした。ああお父さん、あなたはきっと、天国でも一番立派なんでしょうね。
ジョナサン・コクラン(ジョニー・コクラン氏の息子):いまふりかえっても、父が死ぬのは早すぎたと思います。でもきっと、天国でなにか大きな事件でもあって、神様に弁護士が必要になって、ジョニー・コクランをよんだのだと、考えるようにしています。
【再生終了】
LK:ここでサンジャイ・グプタにくわわってもらいましょう。グプタ博士はCNNの主任医療特派員ですが、神経外科の臨床医でもあります。では懸案にうつりましょう。デールさん、携帯電話使用とジョニーさんの病気の関係について、しろうとしてはどう思いますか。
コクラン:関連は多分あると思います。でもしろうとですので、たしかに関連があるなどという科学的な知識はもっておりません。
LK:ご主人に何度も会ったCNNのスタッフは、ご主人が携帯電話をしばしば使っていたといっています。それは本当ですか。
コクラン:はい、携帯電話をよく使っていました。でもブラック先生もおっしゃるとおりいつもイヤホンを使っておりました。
LK:そうすると……電話を使うかわりに、電話にイヤホンをつけても解決にはならないということですか。
コクラン:イヤホンはただちにつけるべきでしょうね。
LK:なるほど。ブラック先生は、この関連についてどうお考えですか。
ブラック:あのねラリーさん、いまあがっている証拠からみるかぎり、携帯電話が脳腫瘍と直接に関連しているというのはむずかしいけれど、携帯電話が安全だというのもむずかしいのですよ。この両方の意見を支持する研究があります。実施された研究をみると...これはヨーロッパ以外でおこなわれたものですが、10年以上にわたる長期の携帯電話使用を調査した、重大な研究結果があります。2000時間超、というのはつまり1日1時間として10年ぐらいですが、携帯電話を使用した人においては、脳腫瘍発症の危険率が3.7倍に上昇するというのです。
LK:それは高率とみるべきですか。
ブラック:相当の上昇とみられていますが、脳腫瘍の発症率はもともと低いのです。でも関連がないとする研究もあります。
LK:グプタさんはどう思いますか。
サンジャイ・グプタ(CNN主任医療特派員):たしかに興味ぶかいですね。というのもすべての研究をみれば、すばらしいですね、とだれもがいうでしょうから。科学者ならみなそういうでしょう。でもラリーさん、わたしは本当にすべての研究を読みました。去年は本当にそれを読んでばかりでした。本当にいい研究は16件あって、なかには2000年以降のものも数件ありました。よくみればわかるのですが、そういう研究では多くの場合、数年間しか患者を追跡していません。でもご存じのように、何年も携帯電話を使っている人がいたとして、その子どもが携帯電話を使いはじめたとすると、その子は携帯電話を一生使いつづけることになります。ところがある研究では、週1回携帯電話を6か月間使うことを常習的な使用といったりしています。
LK:それほどまれにしか携帯電話を使わない人がいまいるのですか。
サンジャイ・グプタ:つまり研究を1件だけみれば、携帯電話は安全だということになるのです。でも考えてください、10、20、30、40年と使いつづけていけば……。
LK:それはわかりませんね。
グプタ:わかりません。特にわたしのようなニュース業界の者のように、携帯電話をいつも耳のそばにつけていたら。本当に安全なんでしょうか。
LK:先生、たとえばタバコと肺癌の関係について多くの人に話をきくと、因果関係まではわからないといいます。でもタバコと肺癌とのあいだに、統計的に関連があることはたしかです。携帯電話と脳腫瘍とのあいだにも統計的な関連があると思いますか。
ブラック:そうですねラリーさん、グプタ博士もおっしゃるように、重大な問題は決定的な研究がまだないということです。そして特に何千時間も使用している若……。
LK:十代の?
ブラック:十代よりもっと若い子どもたちさえふくまれます。かれらはこれから20年も30年も携帯電話を使用しつづけるでしょうが、それが安全な装置であるという十分な証拠はないのです。決定的な回答がえられるまでに、不幸にも5年から10年を要するのではないかと、わたしは懸念しています。そして不幸なことに、この番組の最初にもふれられたように、長年にわたって携帯電話を使用している人は10億人ほどいます。それが安全な行為だという保証はありません。
LK:わかりました。グプタさん、ブラック先生は関連がありうるとおっしゃいます。やはり関連がありうると?
グプタ:はい。以前にラリーさんとのあいだで話題になった本を通読してみました。そうしたらわかりました。それに自分が子どもをもったとき、この問題にさらに関心をもつようになりました。そしていまでは、関連がありうると思っています。わたしたちは携帯電話をいつもどのように使っているでしょうか。デール・コクランさんがおっしゃったように、わたしもイヤホンを使っています。でも重要なのは、携帯電話が、わたしたちがいつももち歩いている、非電離マイクロ波発生装置だということです。ご存じのように、携帯電話を使用している人々は、大抵は元気なようにみえます。しかしそこには懸念があり、わたしたちは注意しなくてはなりません。
LK:ブラック先生、ジョニーさんの腫瘍があった場所は、携帯電話が耳にあたる場所に近かったのですか。
ブラック:はい。それに、決定的な研究がないとはいえ、携帯電話を使用している側と……
LK:左側に腫瘍があったら、携帯電話を左側にあてていたと?
ブラック:腫瘍の発症する側とのあいだには関連がみられるとする研究もあります。そしてそのような例が実際にみられたから、携帯電話を使用する側と腫瘍の発生する側に関連があるかということが、関心をもつ人々のあいだで注目のまとになってきたのです。
LK:そしてこうもいわれています。わたしは専門家ではないので、読んでみますね。
「携帯電話はラジオ周波数で稼働している。それはエネルギーの流れだ。ラジオ周波数の人体組織への影響について、なにがわかっているであろうか。」
グプタ:電離放射と非電離放射がありますね。携帯電話が発散するのは非電離放射です。
LK:それはなんですか。
グプタ:電離というのはエックス線みたいなものです。エックス線がいつもあったらあまりよくないことは、みなさんご存じでしょう。非電離の方は、電離よりは問題が少ないといっていいでしょう。ですが問題なのは、それが熱を多少とも発生させることです。いってみれば熱源を、頭や耳に近いところに、長時間おいているということであって、それが長時間であるほどよくないというわけです。
LK:ダナさん、あなたは携帯電話を使いますか。
コクラン:はい。わたしは携帯電話を使います。
LK:日常的にですか。毎日?
コクラン:日常的といっていいですね。
LK:ブラック先生は?
ブラック:わたしは……
LK:ダナさんといいましたが、デールさんでしたね。失礼しました。
コクラン:どういたしまして。
ブラック:わたしも携帯電話を使いますが、いつもイヤホンをもちいています。ご存じでしょうか、マイクロ波エネルギーの源泉になるのは、携帯電話のアンテナです。そして、グプタ博士もおっしゃいましたが、エネルギーは実際に、脳からの距離の2乗に反比例します。ですから、イヤホンをもちいて、マイクロ波アンテナを頭からはなしておくことが、安全な使用法だと思います。
LK:それは患者さんにもおしえて……
ブラック:ですからデールさんに……
コクラン:ええ、そうです。
ブラック:...それから、イヤホンをもちいるのが安全だとわかってくださる方には、いつでもおつたえしています。
コクラン:そうですね。
LK:グプタさん、あなたは携帯電話を使いますか。
グプタ:ええ。それにイヤホンも使います。これはブラック先生のおかげでもあります。数年前に先生とお話して……
LK:本当ですか。するとみなさん、疑いはおもちなのですね。
グプタ:うーん……
LK:疑いはもたざるをえない。でもなぜ?なぜわざわざイヤホンを?
グプタ:懸念はしています。ご存じでしょうけど、ブラック先生もいわれたように、電話機を耳から遠くはなすほど安全だということは、説明書にさえ書いてあります。曝露する電磁波の量がそれだけへるということでしょう。
LK:携帯電話はタバコより危険だという人さえいます。そのような意見をおもちのお医者さんに、つぎに登場していただきましょう。
【CM】
LK:『ラリー・キング・ライブ』です。デール・コクランさんには、またのちほどくわわっていただきましょう。キース・ブラック博士とサンジャイ・グプタ博士にはひきつづきお話をうかがいます。そしてもうおひとかたも神経外科医です。オーストラリアのキャンベラにおられるビニ・クラーナ博士です。キャンベラ病院の神経外科助教授です。クラーナ先生、携帯電話がもたらす健康への危険は、石綿やタバコよりもずっと広範囲におよびうると先生はおっしゃっていますが、その根拠はなんでしょうか。
ビニ・クラーナ(キャンベラ病院神経外科医):事実にもとづいています、ラリーさん。世界の携帯電話使用者は現在30億人超といわれていますが、これは世界人口のおよそ半分にあたります。すでに飽和点に達しています。たとえばオーストラリアでは、2100万人の人口に対して、2200万台の携帯電話があります。携帯電話に関連する、または関連すると報告されている健康障害には、脳腫瘍のほか、行為障害・唾液腺腫瘍・男性不妊・マイクロ波症候群などがふくまれます。だから問題は脳腫瘍だけではありません。利用者がこれだけいて、しかも3歳から使用しはじめる子さえいるとなれば、懸念しないわけにはいきません。ですからわたしは、その種の意見を支持します。
LK:ブラック先生、なにかご意見はございますか。
ブラック:そうですね、決定的な関連があるとの科学的結論をだすにたるだけの、確定的な研究はまだないと思います。クラーナ先生の懸念はもっともであり、とりわけ携帯電話を使用する若者については、重大な懸念があるとはわたしも思います。それに、マイクロ波アンテナは電子レンジにとてもよくにているので、脳腫瘍以外の神経障害を懸念するというのももっともでしょう。なにしろ脳が加熱されるのですから。ですが、青少年の記憶におよぼす長期的な影響などはわからないのでは……
LK:懸念すべきではあると?
ブラック:記憶その他の神経障害についてはわからないと思います。懸念すべきではありますね。
LK:グプタさんはどう思いますか。
グプタ:クラーナ先生もまた、既存の研究をご覧になっているわけですね。先生はここではご自身の研究を紹介されていませんけど、既存の研究をじっとみている多くの人々には心配のたねであろう、なにごとかを先生もまたみているわけです。火のないところにけむりはたたぬ、と古いことわざにもありますよね。少なくとも人々に、携帯電話をどう使うのか、イヤホンは使うのか、耳からもっとはなすのか、といったことを考えるようにうながす必要はあるでしょう。根拠がどれほどあるか、となるとちょっとむずかしいですけど。
LK:スクリーンをご覧ください。脳腫瘍は、子どもの死亡がアメリカでもっとも多い癌であり、2番目に多い子どもの癌でもあります。これについてクラーナ先生はどうおっしゃるのでしょうか。
クラーナ:問題の原因がなんであるかみきわめるためには、とても慎重にならなければならない、ということだと思います。心を大きくひらいておかなくてはならないでしょう。原因の可能性があるのなら、それを真剣にさぐらなくてはなりません。10年以上も前に世界保健機構が、携帯電話研究班の設置に同意したことを思い出してもいいでしょう。それがなにを意味するのか、みなさんもおわかりだと思います。
LK:ブラック先生、子どもの電話、いや失礼、子どもの脳は、大人の脳とどうちがうのでしょうか。
ブラック:そうですね、発達中の脳においては、絶縁された神経細胞や保護細胞がより多くみられます。とても活動的な状態にあるといえます。そしてそういう細胞は、外傷その他の問題により癌を発症しやすいのです。たとえば動物実験においても、胎児その他成長中の若い動物では、腫瘍を発症させやすいことがわかっています。だから子どもの脳は敏感であるといえますね。
LK:携帯電話の危険に関する議論では、聴神経腫もよく言及されます。サンジャイさんがボードのそばにいますね。それはなんですか。
グプタ:ラリーさん、ここでみなさんに映像をみていただきましょう。これは脳のアニメーションですが、うしろからみてください。この脳を回転しまして、特定の部位に注目していただきましょう。ここが耳です、ラリーさん。ここから耳の中に入ります。そしてこの赤い部分ですね。これが内耳の特定神経に発生した腫瘍です。断層撮影でどうみえるのかみてみましょう。これは病院で実際に患者から撮影したものです。ほら、脳の内部に腫瘍があるでしょう。もしかしてあなたにもあるかな? とにかくこれが内耳の腫瘍です、ラリーさん。目はこの上にあって、耳はこのむこうです。この大きな白いかたまりが聴神経腫、内耳領域の特定神経の腫瘍ですね。
LK:これが携帯電話に関係しているかもしれないというのですか。
グプタ:ええと、番組中で言及した論文のいくつかは、この腫瘍との関連に言及していますね。携帯電話使用との関連が発見されたとする論文もあったと、ブラック先生もいわれています。ヨーロッパの研究が多いのですけど、たとえばこの研究などは、携帯電話を長期的に使用している人々では、腫瘍の発症率が4倍近くにふえるというのです。
LK:サンジャイさん、ありがとう。オハイオ州ノースロイヤルトンのジョディさんから電子メールがきています。「わたしの夫は、脳の左側に、手術できない3度の膠腫を発症しています。診断以前にかれはいつも携帯電話をあてていましたが、それは頭の右側にでした。電話使用が原因だというのな
ら、右側に発症するのではありませんか。」いかがですか、ブラック先生。
ブラック:ラリーさん、特定個人の脳腫瘍発症と、携帯電話使用とを直接に関連づけるのは、とてもむずかしいのです。わかっているのはただ……
LK:ということは、特定の事例については議論できないと?
ブラック:まず人々の基本的な腫瘍の発症率というのがありますよね。特定個人の腫瘍は特定種類の環境的な外傷に、関係しているかもしれないし、関係していないかもしれません。ある人が腫瘍を発症したからといって、それが携帯電話に関連しているとはかぎらないのですよ。ある部位に近いところに腫瘍が発生しやすいとはいえます。それに癌細胞は転移します。だからある細胞が外傷をうけて、それが脳内の別の部位に転移するということもありえます。
LK:ところでクラーナ先生、あなたは携帯電話を使いますか。
クラーナ:使いますよ、ラリーさん。携帯電話が便利だということは、わたしにもわかります。でもスピーカーモードで使っていて、耳にあてることはありませんね。
LK:アメリカ癌協会は携帯電話についてどういっているのでしょうか。おどろくべき答えを知りたい方は、ひきつづき『ラリー・キング・ライブ』を。
【CM】
LK:ここにおられるのは、セダール・シナイの神経外科部長キース・ブラック博士、CNN主任医療特派員で神経外科医でもあるサンジャイ・グプタ博士、そしてオーストラリアから、キャンベラ病院神経外科助教授ビニ・クラーナ博士です。ここでワシントンから、アメリカ癌協会疫学・監督副部長マイケル・トゥン博士にも、くわわっていただきましょう。先生、アメリカ癌協会は、この件について、どのような見解をもっていますか。
マイケル・トゥン(アメリカ癌協会):最善なのはおそらく、偏見をもたず、わかっていることとわかっていないことを、よく知ることでしょう。わかっているのは、携帯電話からでるラジオ周波数放射は、エックス線撮影機や原子爆弾からでるそれとは全然ちがっているということです。いま問題にしているのは、FMラジオと電子レンジの中間にある、非常にことなる種類の放射についてです。もっとも早くから携帯電話をもちいていたスウェーデンでは、1980年代には携帯電話は、今日よりもずっと強力な放射をしていました。携帯電話が導入されてからも、脳腫瘍の発症率はかわっていません。だからといって明確な結論はでないのですが、これも重要な情報ではあります。それから脳腫瘍に関する研究、これは聴神経腫とは区別しなくてはならないのですが、その結果はよく確認されています。関連を発見した研究もあるのですが、強力な関連をみいだした研究の結果は、アメリカにおける脳腫瘍の時系列と全然一致していません。
LK:それはひっくりかえせませんか。いや、ちょっとひっくりかえしてみましょう。関連はあると思いますか。
トゥン:聴神経腫についてはまだ問題があると思います。携帯電話に危険がないとはいえません。携帯電話はたしかに事故をおこすことがあります。新技術があらわれ、数億人がそれを利用するということになれば、おどろくようなことがあるのは当然です。傲慢になるのは最悪です。イヤホンをもちいて、曝露をさけようとするのは賢明と思います。しかし、脳腫瘍の原因について実際に研究をしている人の多くは、携帯電話が原因になるということについては、非常に懐疑的なのではないでしょうか。
LK:クラーナ先生、どう反論されますか。
クラーナ:トゥン先生のご意見にはまったく賛成できません。ラリーさん、ここでひとつ読ませてください。これはシドニー大学公衆衛生学科長ブルース・アームストロング教授の発言です。教授はオーストラリアの...研究を統括する携帯電話部の部長です。教授は2週間前に国営テレビに出演してこういいました。「携帯電話が腫瘍の原因になるということについては、証拠がますますたまってきています。わたしは携帯電話をあまり使いたくありません。有害な効果を支持する証拠があがっているときけば、人々は衝撃をうけるにちがいありません。」教授が指摘したのは、膠腫・原発性脳腫瘍・癌・聴神経腫・刺激性腺腫です。それだけではありません、ラリーさん。スウェーデンでは腫瘍の発症率上昇が記録されていないとトゥン先生はいわれましたが、携帯電話と脳腫瘍との関係をもっとも強く示唆した研究もまた、スウェーデンからでているのです。たしかに脳腫瘍の全体的な発症率に変化はないのですが、忘れてはいけないのは、変化が記録されるには時間がかかり、データは関連づけられねばならず、有意義なデータがこれからでるであろうということです。
LK:ここでブラック先生に少しお話いただきましょう。のちほどまた、コクランさんと一緒にもどってきていただきますけど、その前に。2人のお医者さんの意見をきいて、混乱なさいましたか。
ブラック:いいえラリーさん、そんなことはありません。意見が対立するのは、科学ではよくあることです。ご存じのように、ほとんどの研究は完璧ではありません。どの研究にも欠陥はあるものです。ですからはじめにももうしあげたとおり、携帯電話は安全だとも安全でないとも、確実にはいえないのです。わたしが懸念するのは、携帯電話が普及するなかで、最悪のすじがきとして、いまから10年後に決定的な研究がでて、関連のあることが判明するということです。
LK:ブラック先生はもどってこられます。ほかの先生方には残っていただきますが、ブラック博士はデール・コクランさんと一緒にもどってこられます。無線事業者の業界団体である携帯電話技術・インターネット協会(CTIA)にも、今夜の議論に参加するようによびかけたのですが、ことわられてしまいました。ですがCTIAは以下の声明をよせてくださいました。
「この問題は科学的に論じられるべきです。世界の科学雑誌に掲載された研究の大部分は、無線電話が健康への危険をもたらさないことをしめしています。それは、合衆国食品医薬品局・アメリカ癌協会・世界保健機構など、指導的な保健団体の公式見解でもあります。技術が進歩するかぎり、研究をつづけることをわが業界も支持しますが、公表された科学的研究が、懸念のないことを表明しているというのが、指導的保健団体の合意であるという事実をも、強調しておきたいと思います。」
CTIAはまた、アメリカ癌協会にといあわせれば、より多くの情報がえられることも示唆してくださいました。
 つぎは携帯電話の過去と現在についてです。工業技術は医学研究よりも急速に進歩しているのでしょうか。チャンネルはそのままで。
【CM】
【録画再生】
匿名女性:携帯電話会社に罪はないんじゃないですか。個人の責任の問題ですよ。
匿名男性:タバコについても公衆衛生局長官が警告しているでしょう。それは公衆が知っておくべきことだと思うんですよ。
匿名女性:脳腫瘍をおこすことがまちがいないのなら、なんらかの警告をするべきです。
【再生終了】
LK:グプタ博士・クラーナ博士・トゥン博士がここにおられます。ニューヨークからルイス・スレシンさんにくわわっていただきます。かれは、『マイクロウェーブ・ニュース』というホームページの編集者です。同名の雑誌はおそらく、この分野では最大の出版物でしょう。ルイスさん、いそいでききたいことがふたつあります。まず、携帯電話が脳腫瘍を起こすかもしれないという理論についてどう思いますか。それから、業界はどのくらい進歩したのでしょうか。
ルイス・スレシン(『マイクロウェーブ・ニュース』編集発行者):最初の点についていうと、この番組でも言及された、多数の疫学的研究において効果がしめされているので、関連はおおいにありうるとみるべきでしょうね。北欧やフランスやドイツや、それから特にイスラエルの研究が、携帯電話と、脳腫瘍・神経腫・腺腫瘍との関連をしめしています。
LK:それで業界はどのくらい……
スレシン:それがどうなるかわからないのですね。そういうしくみがないのが、いまのところ大きな障害ですね。
LK:ちょっとまってください。サンジャイさんが業界の成長について少し話してくれます。
グプタ:記憶をたどってみてください。まず初期の携帯電話が思いうかびますね。これはモトローラのものです。これはかばんに入っていました。これが80年代初期ですね。それから取っ手がこうなりました。これが80年代中期です。電話機の大きさと性能だけでなく、放射の量もかわっているのですね。電話機が進歩するにつれてへっています。これは1983年の電話機です。みてください、こんなに大きいですね。これは一時期とても流行したものですね。モトローラのフリップホンです。92年のですね。これも当時非常に流行したものです。ここからはノキアです。98年、99年、それから2001年のものですね。小さくなっているのがすぐわかりますね。高周波電磁波も小さくなっていて、それはよいことだと、みなさんも思うと思うんですよ。
LK:これはあれにくらべてとても安全だと?
グプタ:いや、それがむずかしいのです。最近のものはみな安全だと、科学者はいうかもしれません。それらは問題になるほど多量の高周波電磁波を放射してはいません。でも人々が一日中電話を、それも耳のそばで使っているのだとしたら、最近のものは安全になったと、たしかにいえるかもしれせんね。
LK:いかがですか。トゥン先生、これはあれよりもずっと安全ですか。
トゥン:最近のは放射が少ないとは思いますが、それをいうと論点がずれるような気もします。より重要な点は、携帯電話からの放射が心配だというのなら、ブルートゥースや耳プラグで、ほぼ完全にそれを除去できるということです。だから、ひろくもちいられている技術による解決があるのですが、その長期的な追跡調査が、特に子どもについてはおこなわれていません。つまり、科学がまだ決定的な答えを出していないことについて、決定的な答えをもとめているということではありませんか。証拠の重みは否定的です。でもすべての答えがえられたわけではありません。
LK:クラーナ先生、ひとつの問題は、ほとんどだれもが携帯電話をもっていることです。だからタバコと肺癌のように、使用者と非使用者との比較ができません。みんなが使用者なのですから。
クラーナ:まったくそのとおりですね。それは世界保健機構による13か国の研究でも問題になったことです。「対照群」も携帯電話を使っています。かれらはまた、同様に危険だといわれているコードレス電話も使っているかもしれません。だから「対照群」も「使用者群」も、電話を使っているのです。グプタ博士がいわれたように、「常習的使用者」の基準それ自体が十分に警告的なのです。常習的使用者になるためには、週1回6か月間携帯電話を使用すればいいのです。それでは頻繁に使用しているとはいえないのではありませんか。
LK:ルイスさん、みんながイヤホンを使えば、それでいいのではありませんか。
スレシン:そのとおりです。みんながそうするべきです。ブルートゥースがいいかどうかはわかりません。というのは、低出力とはいえ、送受信アンテナが耳の中に、つまり脳のとなりにあるからです。限界値はわかっていないし、機序もわかっていないことについては、十分に注意をはらうべきでしょうね。この番組に出演しているみなさんも、イヤホンを使用すべきだということについては、合意しているのではありませんか。わたしもそれには合意します。
LK:サンジャイさん、説明書はどういっていますか。
グプタ:興味ぶかいことなんですが、安全についての説明を読む人はあまりいませんね。
LK:電話には説明書がついてくるんでしょう。
グプタ:たしかについてきます。非常に注意ぶかく読むとわかるんですが、通話していないで、ただし電源を入れたままで、ただもちはこぶだけのときにさえも、安全性があらかじめ確認された特定のベルトケースに、電話機をしまうべきなんです。電話にベルトケースがついてくることも多いですね。
LK:ベルトケースを使えと?
グプタ:説明書はそういっています。そうするのがもっとも安全だと。そして実際に使用するときには、耳から少なくとも15ミリメートル、できれば1インチはなすべきだと。つまりこんな感じですかね。
LK:ベルトケースに入れるというのは、からだからはなすということですか。
グプタ:からだからはなすということですね。
LK:おどろいている方もいますね。
グプタ:そうですね、でもこれは製造者がみずからいっていることですから。
LK:ラリー・キング・ライブです。ルイス・スレシンさん、ありがとうございました。番組中で特定の商品名が出てくることがあっても、それは携帯電話一般の代表としてであって、特定商品が健康問題をおこしやすいということではないことを、おことわりしておきます。それでは、携帯電話は有害だと思いますか。視聴者投票もしています。CNN、ラリー・キングのホームページで投票してください。携帯電話の最善の使用法というのはあるのでしょうか。ひきつづきラリー・キング・ライブをご覧ください。
【CM】
LK:ここでニューヨークから、テッド・シュワルツ博士にくくわっていただきます。博士はニューヨーク長老教会病院の腫瘍外科部長です。先生のご意見は存じあげないのですが……まずはじめに、シュワルツ先生、ベルトケースに入れろとか、耳からはなせとか、説明書でいっているということは、製造者もなにかをおそれているということだと思われますか。
テッド・シュワルツ(ニューヨーク長老教会病院):製造者が脳腫瘍をおそれているとは思えませんね。文献にあげられた膨大な証拠をみるかぎり、携帯電話使用と脳腫瘍とのあいだには、十分に有意味な関連はしめされていないとわたしは思います。ここで注意したいことがあります。脳腫瘍の治療にくる患者さんはおそれをいだいています。原因はなにかと疑問をいだいている患者さんもいるかもしれませんが、大切なのは患者さんの関心や、そして一般社会の関心を、脳腫瘍の不確実な遠因よりも、むしろそのあらたな治療法の方にむけていただくということでしょう。
LK:でも携帯電話が原因かもしれなくて、イヤホンでそれをふせげるというのなら、イヤホンを使ったらいいのではありませんか。
シュワルツ:ええ、イヤホンを使うのはかまいません。ご心配であればそうされたらいいでしょう。しかしわたしは、いまのところ文献をみるかぎり、ほとんどのデータは関連をしめしていないということを、強調したいと思います。電磁波が脳腫瘍をおこすしくみについても、十分に説明されていません。
LK:クラーナ先生、反論がおありではありませんか。
クラーナ:そのとおり。まずシュワルツ先生、脳がどうやって考えるのかということさえまだわかっていません。脳のことなる部位のことなる機能にもとづいて、適切な発話がどうなされるのかもわかっていません。われわれは、自分がどうやって話し、考えるのか知らないのです。でも自分が話し、考えるということはわかっています。ですから、携帯電話がどのようにして、脳腫瘍につながる分子段階の異変をおこすのかわからないからといって、関連がないということにはなりません。既知の関連がないことと、関連がないこととはちがいます。携帯電話が安全だとしめしたデータが膨大にあると、先生はおっしゃいました。そこでわたしは、国際比較研究でしめされた、長期的なデータに注目していただきたいと思います。でもその前に、先生に賛成したい点がひとつあります。患者さんが手術をうけにきたとき、大事なのは原因がなにかということではありません。どういう治療をして、どのように患者さんをたすけるかということの方が、ずっと大切です。すべての脳腫瘍が携帯電話のせいでおこるとも思っていません。それは絶対にちがいます。でもラリーさんもいわれたように、原因と考えられることがあって、病状をたとえわずかでも緩和できる可能性があるのなら、それは有益なことにちがいありません。
LK:時間がなくなってきました。先生、おいそぎを。
クラーナ:わかりました。イスラエル電話局のセデスキー氏はこういっています。「正の用量反応関係が発見された。携帯電話使用と腺腫瘍とのあいだの関連が示唆される。」
 共同研究にくわわったフィンランドのラコラ氏もいいます。「脳腫瘍が発症した頭部の側での、10年をこえる携帯電話使用においては、統計的にはぎりぎりに有意なオッズ比の増加がみられた。」他の共同研究者も同じことをいっています。この長期データをみるべきです。
LK:この話題をもう少しつづけましょう。出演者のみなさんに感謝します。このあとは、デール・コクランさんとキース・ブラック博士にもどってきていただいて、サンジャイ・グプタ博士とも一緒に、番組をまとめることにしましょう。
【CM】
【録画再生】
コクラン弁護士:適合しないのなら、無罪にすべきだ。毎朝目ざめるたびに自分の選択をふりかえって、弁護士になってよかったと思います。弁護士になれば、興味ぶかいことをすることができます。きずつけられた人々を代弁することができます。無罪と信じた人々を弁護することができます。希望すれば政治に進出することもできます。若いみなさんにとっては、魅力ある進路でしょう。
【再生終了】
LK:デール・コクランさん、今夜はおおいに議論をおききになったわけですが、どう思われましたか。
コクラン:うーん、なぞですね。まだなぞとしかいえまんせんね。関連の有無をはっきりさせるために、努力をしたいとは思います。でもわたしがもっと関心をもっているのは、脳腫瘍治療法の発見をすすめることであって、ですからジョニー・コクラン脳腫瘍センターが設立されたことをうれしく思います。
LK:ええと、なんでしたっけ。
コクラン:セダーズ・シナイのジョニー・コクラン脳腫瘍センターですよ。
LK:ジョニー・コクラン脳腫瘍センター……ああ、開所式には出席しました。
コクラン:ええ、おられましたよね。
LK:ロサンゼルスのセダーズ・シナイにあるんですよね。ブラック先生、移動電話やコードレス電話について、議論すべきことはありますか。
ブラック:屋内のコードレス電話からの放射はとても小さいので、携帯電話ほどには心配すべきと思っていません。でもラリーさん、脳腫瘍と関連するほかの環境要因もあることがわかっているのですよ。消防士には、重油への曝露のために、職業的な脳腫瘍の危険があります。わたしたちはセダーズで、大気管理区の補助金をえて、大気汚染と脳腫瘍との関連をしらべています。それからプラスチック工場ではたらく人々も……でもデールさんもいわれたように、ジョニー・コクラン脳腫瘍センターの興味は、除去すべき潜在的原因を特定することだけでなく、効果的な治療法をみつけることにもあるのです。
LK:本当にすばらしい施設で、わが国の保健におおいに貢献しそうですよね。グプタ博士がまたボードで、携帯電話の安全な使用法についておしえてくれます。
グプタ:ラリーさん、業界の勧告と、ここで紹介した科学的研究にもとづく、携帯電話のもっとも安全な使い方を紹介させてください。このブラッドさんは、右耳に有線イヤホンをつけています。それは電話機につながっています。電話機は指定されたベルトケースに収納されています。業界が推奨する方法はこれですね。ところがこちらのブラッドさんは、電話機を胸ポケットに入れています。胸ポケットに入れてはこぶことは、業界でも推奨していません。さらにこちらのブラッドさんは、電話機をズボンのポケットに入れています。これもまた、業界の推奨するところではありません。それから、こういうブルートゥースの器具も非電離放射を出すので、一日中装着していないことです。携帯電話よりは放射は少ないのですけど、たえず装着しているとなればやはり問題です。
LK:してはいけないことが一杯ありますね。
グプタ:してはいけないことは一杯あります。すべきことはまず、こういうイヤホン類を使うことです。もう一度いいますが、有線イヤホンと業者指定ベルトケースを使うというのが、勧告されていることです。
LK:ありがとうございました。サンジャイ・グプタ博士でした。食品...いや失礼、こちらのスクリーンをご覧ください。食品医薬品局も、携帯電話使用について勧告をしています。まず携帯電話の使用頻度をへらして、できるかぎり有線電話をもちいること。さらに同局は、スピーカー電話やイヤホンなどをもちいて、電話機のアンテナを頭からはなすことも勧告しています。これについてはまたふれます。デールさん、たしかな証拠はなくても、人々は関心をもっていますよね。
コクラン:はい、関心をもっていると思います。ブラック先生が少なくとも5年前にはイヤホンをつけていたことを思い出します。そういうイヤホンはまだあまり売っていなかったのですが、先生がつけているならわれわれもそうするべきだと主人がいっていました。わたしたちは実際にそうしました。だから注意すべきことがあるのはたしかです。でもこの問題は、癌の他の原因ともあわせて研究されるべきだと思います。
LK:たとえばテッド・ケネディ上院議員のようなことがおきると、努力がさらに必要だということで、関心がたかまるのではありませんか。
ブラック:そのとおりです、ラリーさん。そして癌、特に脳腫瘍の研究の現状をみると、研究への出資がふえれば、この病気の効果的な治療法が早くみつかると思います。
LK:セダーズ・シナイのジョニー・コクラン脳腫瘍センターとも連絡をとってみてください。携帯電話は有害だと思いますか。CNN、ラリー・キングのホームページで投票してみてください。■

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