【翻訳】E-waste(電気電子機器廃棄物)と脆弱な住民への危害 ―深刻化する全世界的な問題―

投稿者: | 2016年8月9日

背景
電気電子廃棄物(e-waste; Electronic waste)の産出量は驚異的で,地球規模では2014年には推定4180万トンにのぼるという。多くの非公式e-wasteリサイクリングは低所得から中所得の多くの国々にとって大変必要とされる収入源である。しかし低開発国における取扱いと処理はしばしば安全性が低く,汚染された環境に導いてしまう。粗末な野放しにされた加工処理は結果としてそれに続く有害な化学物質の曝露を引き起こし,女性と子供を含む脆弱な住民に襲いかかる。それにもかかわらず, e-wasteの危害は研究や公衆衛生の協議事項の中ではまだそれほど注目されていない。

目的
我々はe-wasteの規模と健康リスクの概要を提供する。我々は環境ハザード,特に子供に与える影響に注目して地球規模のe-waste問題に由来する健康被害に取り組むための次のステップを示す序文として国際的努力を再考する。

考察
e-wasteの問題は10年以上前から関心が高まっている。e-waste用地が原因の健康への有害な影響の観測数がますます増えてきてe-waste汚染からヒトの健康と環境を守るために呼びかけがなされている。たとえe-waste曝露への介入と防止の努力が実行に移されるにしても,遺産として受け継がれる汚染は, そのまま残り,e-wasteが主要な環境衛生への脅威として増していることに対して配慮が必要である。

結論
グローバル,国家,地域レベルでの努力は, 生きるためにe-wasteの処理加工に依存する人々のために広いセキュリティの問題点を考慮した安全なリサイクル操業の確立を目指して向かわねばならない。これらの努力の中で, 妊婦や子供たちのe-waste曝露を減少して健康への有害な影響を弱めることこそが最高のものといえる。ヒトの環境衛生を考慮するとともに,新しい解体方法, 改善技術そして介入のための実践が共同体を守る上で必要である。

緒言
1) 電化製品のイノベーションは地球を取り巻く人々の欲望を包み込んで多くのニーズを満足させている。新しい製品が次々と市場に導入されるにつれ,消費者は,今ある電化製品が損傷したり, あるいはただ単に時代遅れになったとして取り換えるのである。廃棄された電化製品の大部分は, 世界中で最も早く増大する廃棄物の流れとなり(Lundgren 2012)環境を汚していく。e-wasteは電気電子機器(Electrical and Electronic Equipment; EEE)のあらゆる型や部品に関係しており,これらは, 所有者による再利用のための意図もなく廃棄されてきたものである[StEP (Solving the E-Waste Problem) Initiative 2014a]。地球規模のe-waste発生量は2014年には41800万トンで,2017年までに65400万トンに増加すると予測されている。

2) E-wasteは鉄,アルミニウム,銅,金,銀,そして稀土類金属を含む様々な価値ある物質の回収の可能性のための資源として世界的に認められている。しかし, 電化製品はこれらの価値ある物質を効率的に再生するために, あるいはそれらを安全に処理するためにデザインされてきたわけではなかった。たとえe-waste の再生回収から経済的利益が得られるにしても, 地球上のe-wasteは, これらの価値ある物質を抽出するために推定15%しか完全リサイクルされていないのである(Modak 2011)。

3) 低所得か中所得の多くの国々では廃棄されたEEEの操作と処理は往々にして規制されていない。安全性への危惧はe-wasteが鉛,水銀,クロムに加えて,プラスチックに含まれるある種の化学物質そして難燃剤のような有害な成分を含んでいるためである。e-wasteの非公式1)な加工処理現場で働く,あるいは住んでいる人々にとってその近くの大気,土壌,そして水の汚染物質に関連した健康への影響に関しての証拠資料は増加している(Grant et al. 2013)。健康への悪影響の証拠とe-waste用地の数の増加はe-waste由来の汚染物質からヒトの健康や環境を守るための挑戦を広げている。

4) この論稿は2013年6月に開催されたスイス, ジュネーブに本部を置くWHO (世界保健組織;the World Health Organization)のe-wasteと子供たちの健康の国際的ワーキンググループの中のサブワーキンググループのメンバーによるものであり, 彼らの議論とそれに続くコンセンサスの結果である。多様な専門家からなるワーキンググループはe-wasteの有害な成分による曝露を減らすための必要性を宣言し,その戦略を議論した(Alabaster et al. 2013)。

5) ここでe-wasteによる曝露が健康に及ぼす有害な影響を述べる前に,我々はこの急激に増えている有害な産業廃棄物に関連するその規模とリスクの簡単な全体像を通してその背景を示し、環境ハザード2),特に子供たちに与える影響に関連する国際的な努力を概観する。 2013年WHOワークグループの提案により,我々は主要な環境衛生的な脅威としてe-wasteについての認識を喚起させるために国際的な連携の必要性を勧告した(Alabaster et al. 2013)。我々は非公式のe-waste加工処理から発生する危害への介入あるいは防止のための解決策を考案し,それを踏まえて次のステップに取り組むことを結論とする。

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テキスト原文はこちら

『環境健康展望』124巻5号、2016年5月より
翻訳:五島綾子、五島廉輔、上田昌文

原題:E-Waste and Harm to Vulnerable Populations: A Growing Global Problem

【著者】
Michelle Heacock(国立環境保健科学研究所(NIEHS))ほか

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