講座報告:東電原発裁判から見えてきたこと

投稿者: | 2019年2月19日

市民科学講座 実施報告

「東電原発裁判から見えてきたこと~未公開だった検察資料を中心に~」

(講師:添田孝史さん)

柿原 泰(市民科学研究室・理事)

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講座の紹介

2018年10月6日、市民科学講座Aコースとして、添田孝史さんを講師に迎え、「東電原発裁判から見えてきたこと」と題する講座を光塾COMMON CONTACT並木町にて開催しました(講座の案内はこちら、案内チラシはこちらを参照)。2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故をめぐって、全国各地で国や東電の責任を問う裁判が数多く行なわれています。2017年6月には、東京電力の刑事責任を問う裁判の公判も始まって、講座のあった2018年10月には、被告人質問(東電の勝俣元会長、武黒元副社長、武藤元副社長)が始まろうとしていた時期にあたります(10月16日の第30回公判から被告人質問が始まりました)。講師の添田さんは、岩波新書『東電原発裁判』の著者であり、この東電原発刑事裁判をずっと傍聴・取材を続けられています。講座では、原発事故と地震・津波の問題の基本的なことから解説していただくとともに、それまではっきりとは見えていなかったことで裁判のなかで明らかになってきたことは何か、それでもまだ見えてこないことは何か、などについて、最新の情報も交えながら、講演をしていただきました。

 

講師の紹介

講師の添田孝史さんについて簡単に紹介します。大阪大学の大学院で生物物理を専攻した後、朝日新聞社で科学医療分野を中心に、記者やデスクとして勤められました。2011年に退社され、フリーの科学ジャーナリストとして活躍されています。東電原発事故に関しては、国会事故調査委員会の協力調査員として津波分野の調査を担当され、雑誌『AERA』などに多数の記事を寄稿され、岩波新書『原発と大津波――警告を葬った人々』も出されています。

市民科学研究室との関わりでは、2012~14年度に東大との共同プロジェクト(原子力施設の地震・津波リスクおよび放射線の健康リスクに関する専門家と市民のための熟議の社会実験研究)を行なっていた際、運営委員をしていただきました。

市民科学研究室では長らく低線量被曝研究会を続けており、放射線被曝の問題に取り組んでいます。今回の添田さんの講演では、東電福島原発事故、そしてそれをめぐる刑事裁判についてが中心ですので、放射線被曝の問題は少し触れていただいた程度ですが、添田さんがかつて朝日新聞の時に書かれた記事についても触れておきたいと思います。原爆被爆者の調査の歴史研究で有名な米国のスーザン・リンディーさんにインタビューをした記事を書かれており、低線量被曝研究会のスタート時からの中心メンバーだった笹本征男さんの研究についても触れられています(連載「核兵器廃絶への道」朝日新聞、1998年7月29日付け、後に、朝日新聞大阪本社「核」取材班『裁かれる核』朝日新聞社、1999年に収められています)。

 

当日の添田さんの講演は、市民研のウェブ・ページ動画配信のコーナーで、会員限定ではありますが、視聴できるようになっていますので、ぜひご覧になってください。講演のスライドはこちらです。

現在も裁判は継続中です。2018年12月には、検察官役の指定弁護士による論告求刑がなされ、2019年3月に被告弁護側の最終弁論が予定されているようです。この2018年10月の講座の後の動向については、添田さんがお書きになっているものとしては、たとえば、「刑事裁判傍聴記」(福島原発刑事訴訟支援団のウェブで連載中)、または、2018年8月に東電原発事故に関する調査報道を続けているジャーナリストたちが立ち上げたウェブサイトLevel 7原発報道・調査室(https://level7online.jp/)の特集ページにも「公判傍聴記」が掲載されていますので、そちらをご参照ください。

 

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