市民科学講座Bコース(2019年12月7日(土)実施)
報告 植物園×大学~小石川植物園の公開例から~ 【後編】
報告者:三河内彰子
◆講師◆
池田博(東京大学総合研究博物館 准教授)
根本秀一(東京大学大学院理学系研究科附属植物園 キュレーター)
◆ファシリテーター◆
三河内彰子(市民科学研究室 理事 / 東京大学総合研究博物館 研究事業協力者)
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<前回からの続き>
今回は、東京大学大学院理学系研究科 附属植物園(通称、小石川植物園)という大学の一施設としての植物園を事例として、植物園×大学が公開する場合、どのような特徴と可能性があるのか、このテーマを2部構成で行うこととなりました。2部とは、午前に小石川植物園の植物見学および、園内の柴田記念館と収蔵庫の見学をし、昼に東京大学総合研究博物館に場所を移してお茶を挟み、後半は植物園や博物館の組織について講師陣から話題提供をいただき談話、ミニ実習も行いました。最後には作成中の押し葉標本や戦前の図鑑の挿絵となった植物画の原画などを見ながら質疑応答を行いました。今回の記事は後半のお話です。
<植物園×大学という場の特徴>
まずは、根本さんから提供してもらった写真を使って、三河内より博物館学の視点から、植物園の特徴、それがさらに大学にあることが社会の中でどのような意味、そして役割を持ち得るのかについて補足しました。写真は緑が多い場所ですが、どこでしょうか?都内の新宿御苑の温室前で、背後に新宿の高層ビルが見えています。根本さんは、都会のオアシスを求めて行ったわけではなく、植物の保全事業の場として行かれたそうです。生息域外保全といって、生息地の環境悪化によって絶滅が危惧される植物を収集して栽培することで種を守る取り組みがあります。新宿御苑では種子の冷凍保存など、様々な保全活動が行われているそうです。都会のオアシスとしての役割の外に、皆さんにあまり知られない保全やそのための研究がなされていることが、解説パネルでも示されています。最近ではそのような研究活動についての説明が園内で示される植物園が増えてきています。
午前に見学した小石川植物園でも小笠原の固有種を保全してゆく研究活動を積極的に行っていること、小笠原では102種の絶滅危惧種が指定されており、そのいくつかが育てられていることがパネルになっています。
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