GIGAスクール構想対象の小学校中学校での教室内での電磁波計測

投稿者: | 2021年9月1日

「はかる、わかる、そなえる」プロジェクトの一貫として、関東エリアのK市にある、GIGAスクール構想対象の小学校、中学校の教室において、高周波電磁波を実測しました。

K市GIGAスクール構想対象の小学校中学校での電磁波計測 報告書

測定の結果をふまえて、以下の「勧告」をこの報告書の最後にまとめています。

1)心身の発達の途上にある学童期の子どもたちが長時間・長期間にわたってある程度以上の強度の電磁波を曝露することへの懸念は、世界的に高まってきている(※10)。GIGAスクール構想に対応した無線LANシステム(Wi-Fi)を導入した教室内で、計測できる高周波電磁波の電力密度は、日本の電波防護指針(あるいはそれが大幅に準拠している「国際非電離放射線防護委員会」のガイドイライン)(※11)の基準値を下回ることは確かだが―今回の計測で示された最も大きな値でもそれらの基準値の数百分の一に収まる―、予防的観点からより厳しい規制を導入している国々の基準値と比べると、それらをすべて下回るレベルであるとまでは言えず、例えばイタリアの「注意値・品質目標値」を超えるかもしれない場所が、教室内の端末PCの稼働状況によっては生じることが予想される。子どもたちがこうした環境に身を置くことは子どもたち自身にはまったく知らされないどころか、その保護者やあるいは教員にしても、教室内で生じているこうした曝露が、ベルギー、フランス、アメリカ合衆国のいくつの州をはじめとするかなりの数の学校で問題視され、新たな規制を導入しようとする動きさえもあることに(※12)、ほとんどまったく気づいていないだろうと思われる。

※10 上田昌文「新たな公害の世紀 ― 電磁波の人体影響と社会の変容を中心に」『世界』2021年3月号「特集 21世紀の公害」P.86~P.97
※11 電磁界(100kHz − 300GHz)へのばく露の制限に関するガイドライン
※12 SCHOOLS WORLDWIDE REMOVING THE WI-FI AND REDUCING EXPOSURE

2)そのような状況のなかで最も懸念されるのは、上記文献(※10)でも論じた環境不耐症(化学物質過敏症や電磁波過敏症など)と呼ばれる疾患が、このように高密度に電波を使用する環境によって増加するのではないか、という点である。現在、そうした兆候を持ち、それとおぼしき症状をいくらかでも示す、あるいはそうした不調を訴える学童がいるとすれば、GIGAスクールを導入した学校としては、慎重な対応を期すことが求められる。すなわち、
◆Wi-Fiを用いる必要のない時間(例えば休憩時や給食時など)には、教室内のルーターをOFFにして、随時、電波が低密度となる環境を確保する。
◆端末PCの稼働状況によっては今回の得られた測定値よりも大きな電力密度が計測される可能性があるので、学校自ら簡易な測定器を用いて、教室内の電波環境を随時チェックする。
◆過敏症(あるいは過敏症気味)の子どもを持つ親とは、そうした測定データをもとにして、電磁波曝露をできるだけ低減していけるような何らかの対処・対策を、話し合ったうえで、講じるようにする。
といったことが必要になるだろうと思われる。

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