子ども料理科学教室 「わかる!使える!料理の道具たち」

投稿者: | 2008年3月2日

写図表あり
csij-journal 013014 cooking.pdf
子ども料理科学教室
「わかる!使える!料理の道具たち」
2008年1月27日実施 アカデミー向丘 にて
報告:山寺久美子(食の総合科学勉強会)+資料:小林友依(食の総合科学勉強会)
今回は、「調理道具」に焦点をあてた子ども料理教室を行いました。鍋や包丁、泡立て器のような大変馴染みのあるものから、焙烙、鬼おろしのような子ども達にとっては何に使うのかさえ分からないようなものまで、取り上げた道具は様々です。これらの扱いを単に教えるのではなく、なぜ便利なのかを子ども達自身に考えてもらうため、あえてその道具以外の選択肢から代用品を探し出したり、道具の自作をしたりしてみました。道具について考えながら、魚料理3種(焼き魚・煮魚・蒸し魚)、大根おろし、蒸しケーキ、胡麻塩が子ども達の手によって出来上がります。
最初に調理する食材は、体長30センチ位の魚3匹です。各班で1種1匹ずつ丸ごと料理してもらいます。まずは子ども達に魚の名前を尋ねました。マダイとキンメダイはみんな良く知っていましたが、スズキ(セイゴ)は子ども達だけでなくお父さんお母さんにも、あまり知られていないようです。それぞれの魚の体をじっくりと観察してから、いよいよ料理に入ります。まずは、ウロコを取る必要があります。子ども達にウロコを手でとってもらいます。「あっ!取れた!!」我々大人だったらイライラするような地道な作業も、子ども達には初めての体験だからか、楽しそうです。「どう?手で全部取るの大変じゃない?」あまりの熱中ぶりに、道具の必要性を感じてもらえるか心配になった程です。なんとか道具の話しが出来そうになったところで、「道具の山」から上手にウロコがとれそうなものを見つけてもらいました。実は「道具の山」には”ウロコ取り”がありません。子ども達はピーラーやゴムべらを選び、また楽しそうにウロコを取り始めました。「魚のウロコを取るには、とっても便利なものがあるよ。これだと魚を傷めずにきれいにウロコをとることが出来るんだよ。」”ウロコ取り”の紹介は、単に子ども達の手を一時止めただけのようでした。ウロコ取りを手にした後も、彼らは変わらず夢中です。道具よりも魚やウロコ自体に惹かれているようです。”ウロコ取り”の便利なことを本当に理解してくれたでしょうか?ウロコをきれいに取り終わったら、今度は包丁で内臓を取り除き、スズキのみに塩をして、暫く置いておきます。
 次に登場した道具は、”焙烙”です。実物を子ども達に示しながら、「これは何ていう道具?」「どんな時に使うの?」と尋ねましたが、さすがに知っている子はひとりもいません。今回扱った道具の中では、一番馴染みのないものでしょう。その焙烙で胡麻を炒りました。子ども達にとっては、生の胡麻と炒った胡麻の違いさえピンと来ないのかもしれません。日頃食べている胡麻は生を炒ったものであることを説明し、それらの違いを確認しました。焙烙を使うと胡麻がふっくらとおいしく炒れます。子ども達は、炒ったそばから熱々の胡麻を頬張り、満足そうでした。・・続いてこの炒り胡麻をすります。子ども達にすり胡麻を見せ、「”木の棒”(すりこ木のこと)だけあげるので、あとは「道具の山」から何か持ってきて、炒りごまをこれ(すり胡麻)と同じ状態にしてください。」と話します。「道具の山」にすり鉢は用意されていないので、すり鉢・すりこ木のペアを知っている子も、他の手段で胡麻をすらなければなりません。まな板の上ですりこ木を転がして胡麻を潰したり、布の上に胡麻をのせて叩いたり、みんなそれぞれの工夫をしていました。その後すり鉢・すりこ木で、胡麻をすり比較してみました。「これは使える!」と思ってくれたでしょうか?
 次は、みんなが知っている”泡立て器”です。まずはどの様な時に使うかを尋ねました。生クリームの泡立てや、ケーキをつくる際の卵の泡立てなど、お母さんが使っているのをみんなよく見ています。「ケーキをつくるのになぜ卵白の泡立てが必要なの?」「どうすれば卵白が泡立つの?」と質問すると、「泡立てるとケーキがふっくらする!」「空気を入れるようにする!」と、すっと子ども達から答えが返って来たのには、びっくりしました。「では、今日はみんなで泡立て器をつくってみよう!」ということで、ワインのコルクと竹串・割箸・輪ゴムを使った自作の泡立て器をつくりました。「卵白にたくさん空気を入れるには、どうすれば良いだろう?」泡立て器が無くても、必要な工夫をすることで意外とうまく卵白を泡立てられることが出来ます。卵白に角が立ったら、米粉・黒糖などを加えて和風の蒸しケーキをつくりました。
 いよいよ魚の加熱をします。スズキを選んだ班は「焼く」、キンメダイは「煮る」、マダイは「蒸す」と決まっています。これらの加熱の違いを、火にかけた鍋を観察しながら分かりやすく説明した後、「道具の山」から必要な道具を選択してもらいました。どの班もすんなりと必要な道具を選べたようです。各班の先生の指導を受けながら、大きな魚を丸ごと加熱しました。
 魚に火が通るのを待っている間、大根おろしをつくりました。アルミ製・セラミック製・プラスチック製・鬼おろしの4種のおろし器を揃えて、どれを使ったおろしが一番おいしいか、みんなで味わってみました。「大根おろしは辛くて嫌い!」と言う子がたくさんいましたが、鬼おろしを使うと甘いおろしが出来ることが分かりました。
 見事な焼き魚・煮魚・蒸し魚が完成しました。先程つくった大根おろしには、鰹節削り器で削った鰹節をのせました。すり胡麻には焼き塩を加え、炊いておいた御飯の上にかけました。ふっくらとした蒸しケーキも出来ています。これらの子ども達がつくった食事で締めくくりました。御飯はおかわりが続出。魚は、我々大人が気にかけなくても、きれいに骨だけになりました。
★「道具の山」をつくり、子ども達にそこから道具を選択してもらう。
用意する道具・・金たわし、スプーン、ゴムべら、ピーラー、ボール、さらし、まな板、のし棒、茶せん、箸、魚用焼き網、網、鍋、金属蒸し器、セイロ、中華鍋(セイロ用)、落し蓋、アルミホイル、缶切り・栓抜き、フライパン など
●「道具の山」をもとに、身近な調理道具について話し合う。
本日のメニュー発表
焼き魚・煮魚・蒸し魚
大根おろし(鰹節つき)
胡麻塩
蒸しケーキ
御飯
ほうじ茶
1・「ウロコをとる」道具 ”魚を料理してみよう(3-1)”
目的:魚自体や、魚を料理することに親しみを持ってもらう。
  ウロコとは何かを知る。
ウロコをとる上手な方法を知る。
道具:ウロコ取り、まな板
材料:魚(ウロコが大きく堅いもの)  1班1種
 *3班に分かれたため、3種(マダイ・キンメダイ・スズキ)用意した。
流れ:
① 用意した魚を皆で観察。魚の名前・特徴にふれる。
② 魚料理の下処理のことから、ウロコやエラなど魚の体の話しにふれる。
③ 映像を見せながら、魚の部位や内臓・ウロコの話しをする。
④ 料理する魚を、各班ごとに選んでもらう。(その後の加熱方法は魚により決まっている。)
マダイ→蒸す、キンメダイ→煮る、スズキ→焼く
⑤ ウロコを観察し、手で取ってみる。
⑥ ウロコ取りと包丁なしで、ウロコを取ってみる。「道具の山」から選択。制限時間3分。(魚の片面を使う)どれだけのウロコがとれたか比較し、どんな道具が取りやすいか話し合う。
⑦ ウロコ取りを紹介。使ってみる。(魚の残りの面を使う)暫くは子どもがどのように使うか様子を見る。使い方・道具の特性を説明する。
2・「きる」道具、「はかる」道具① ”魚を料理してみよう(3-2)”
目的:魚自体や、魚を料理することに親しみを持ってもらう。
    内臓とはどこにあり、何を指すのかを知る。
    魚を解体する時に使う包丁(出刃)の特徴を知る
    魚の腹をさく時、包丁のどの部分を使うかを知る。
    重量はかりの使い方を知る。
道具:包丁(出刃・三徳)・まな板・重量はかり
材料:塩焼き→塩(魚の2%)  *煮魚・蒸し魚の調味料は、6ではかる。
流れ:
① 出刃包丁と三徳包丁の違いと、包丁のどこを使ってお腹を切るかを説明する。
② 各班の先生が、エラを取りお腹を裂く。内臓を観察する。
③ 内臓を取り除く。魚を洗い、水気を拭き取る。
④ 子ども達を塩焼き班に集め、塩焼きの魚に2%の塩をする。(2%の塩の量の説明)それぞれの魚をバットに入れ、ラップをして冷蔵庫に入れる。
包丁について
○包丁の切り方について
 包丁の動かし方により、垂直圧し切り、押し出し切り、引き切りがある。押し出し切りと引き切りは包丁の押しあるいは引く運動と切れ刃の垂直な運動を合成した運動できるため単独の力で切る垂直圧し切りに比べて運動はより大きくなり、容易に切ることが出来る。
 また、柄に近いところで切るほど軽く切れる。
○包丁の刃
 包丁の刃先を材料に当てて下へ押す場合、刃が厚いと材料を横方向に開く力が大きく作用して切れ味は悪くなるが刃が厚いために強く、硬いものでも切ることが出来る。しかし、切り口は滑らかではない。これに対して、刃が薄いと切れやすく、切り口も美しいが、柔らかい材料しか扱えない。
「はかる」とは
数を数えることや体積や重量をはかることは食品を無駄なく、おいしく調理するのに大切なことです。ちょっと面倒でも、慣れないうちはレシピ通りにはかり、料理の味を覚えてから自分で加減するようにしたいものです。
○計量用語について
少々=親指と人差し指の2本の指先で軽くつまんだ量
ひとつまみ=親指・人差し指・中指の3本の指先で軽くつまんだ量
ひたひた=表面が少し見える程度の水の量
かぶるくらい=「ひたひた」より少し多く材料の表面がおおわれる程度の水の量
たっぷりの水=材料の倍以上の量
正味=魚なら頭や内臓を除いた量。野菜なら皮や種を除いた量のこと
中1個=ジャガイモ、玉ネギなど球形のものの場合、握りこぶし大の大きさが目安
○体積(容量)と重量の計量について
 一般に粒状のもの、不定形の固体のものは体積を測るより重量で量るほうが正確である。
(例)米100gを200mlのシリンダーに入れると、見かけの体積(米+空気)は125mlになる。米を取り出して、シリンダーに水100mlを入れて、この中に、米100gを入れると米の体積だけ水面が上がる。米の真の体積は80mlぐらいである。粒状や粉状のものは、常に見かけの体積を測っているから軽くたたいて空気を追い出せば体積は小さくなる。
 このように見かけの体積を測ることは正確ではないが、料理では、液状のものは重量より体積で測ったほうが能率的であったりする。食品の体積と重量の関係を把握し、適当にはかるようにするとよいでしょう。
○食品の体積と重量の関係(一部抜粋:調理のための食品成分表より)
食品名  計量器名 小さじ(5ml) 大さじ(15ml) カップ200ml) 食品名  計量器名 小さじ(5ml) 大さじ(15ml) カップ200ml)
粒状 米 - - 160 調味料 味噌 6 18 230
胡麻 3 10 120 上白糖 3 10 120
粉状のもの 小麦強力粉 3 8 110 精製塩 5 15 200
小麦薄力粉 2.5 8 100 油 4 12 160
生パン粉 1 3 40 マヨネーズ 4.5 14 180
重曹 3.5 11 - 醤油 6 18 230
カレー粉 2 7 - 酢 5 15 200
粉ゼラチン 3 8 100 飲料 水あめ 7 22 290
(一部はかりの形によって異なるので注意) 煎茶 2 6 80
○計量カップと計量スプーンの使い方
 計量カップや計量スプーンを用いる場合、粒状のものは塊のない状態で山盛りにして、平らなヘラですりきってはかる。液状のものは、表面張力があるので、計器の縁がいっぱいに満ち、動かしてもこぼれない程度とする。計量スプーンで1/2、1/4をはかる場合は、平らに摺りきってから、ヘラで余分を取り除きます。
○その他の「はかる」
 温度の測定や時間の測定も料理をおいしく仕上げるために大切なことです。たとえば、パンを作る場合、気温・湿度を測定することはとても大切です。イーストと言う温度に敏感な生物の力を借りているためや湿度によってはパン生地の乾燥程度が変化し、仕上がりに変化が出てくるためです。また、蒸し器で卵豆腐を作る場合や寒天やゼラチンの調理、揚げ物や焼き物にも適温を知る必要性があります。
3・「いる」道具、「する」道具 ”胡麻をすってみよう”
焙烙
目的:焙烙という珍し道具を使ってみる。
   生の胡麻と炒った胡麻の違いを知る。
道具:焙烙・網製胡麻炒り器・フライパン
   洗胡麻 100g
   炒り胡麻  少々
流れ:
① 焙烙を見せて、何に使う道具か考えてもらう。
② 洗胡麻と炒り胡麻の観察。違いの説明。
③ 焙烙の使い方を、説明する。
④ 焙烙・網製胡麻炒り器・フライパンを使って、子ども達に炒り胡麻をつくってもらう。良くできた炒り胡麻を班数分に分ける。
焙烙(ほうろく)とは
○炒るについて
 炒るとは、鍋やフライパンまたは「ほうろく」などで、食品を混ぜながら加熱し、水分を少なくし、さらに焦げ色や焦げのよい香りをつける油も水も使わない調理である。その結果、たんぱく質は変性し、でんぷんはα化するなど消化のよい状態になる。
 豆類や穀類のような水分の少ない食品は炒ってもかたいので、「きなこ」や「むぎこがし」のように、ひいて粉にする場合が多い。魚、豆腐、卵のように水分の多いものは、水分を少なくする為に、身をほぐしたり、かき混ぜて原形と異なる形に仕上げる。また焦がさないように火加減を注意したり、湯せんして、水分の減少をはかる。
○ほうろくの歴史とほうろくについて
 焙烙、炮烙、炮碌などとも記します。ほうろくは、素焼きの浅い平底の煎鍋である。黄な粉を作るために大豆を炒ったり、胡麻や銀杏を炒ったりした。焼米を作るにも使われた。たいていは七厘にかけたが、金属製の柄と金網のついた豆炒器に取って代わられるようで、近年はほとんどみかけなくなってしまった。その豆炒きでさえ、見かけることが珍しくなっていて、今日ではフライパンが重宝されている。
 ほうろくは、ほんの一昔前までは荒物屋の店先に何枚も重ねて荒縄で縛ったものが積んであった。しかし、土鍋は残ったがほうろくはすたれてしまった。それでも、焙烙蒸しや焙烙焼といわれるマツタケ料理などにはほそぼぞとであるが、今でも使用されている。
すり鉢・すりこ木
目的:すり鉢とすりこ木の特性を学ぶ。
道具:すり鉢・すりこ木×班数分
材料:炒り胡麻
流れ:
① 胡麻をすった状態のものを子ども達に見せ、観察させる。
② すりこ木だけを渡し、すり鉢の代わりになりそうな物で胡麻をすってもらう。(すり鉢・すりこ木の名前はふせる。)制限時間3分。出来上がりを比較する。胡麻をするには、どのような道具が必要か話し合う。
③ すり鉢をわたし、再度胡麻をすってもらう。すり鉢・すりこ木の特性を説明する。
すり鉢とすりこ木とは
○すり鉢とすりこ木とは
すり鉢(すりばち、擂り鉢)とは、食材を細かな粒子状に砕いたり、ペースト状にすりつぶす加工を行うための調理器具である。形状は「すり鉢状」という言葉があるように、円錐を逆にしたような形で、下がすぼまり上に行くほど径が大きくなる。鉢の内側には櫛目(放射状の縦の溝)が付けられており、溝に食材が引っかかるために、少ない力で効率よくすりつぶせる。棒状のすりこぎと対で使われ、すり鉢の内側にこすり付けるようにすりこぎを回して材料をすりつぶしていく。
○すり鉢とすりこ木の歴史
擂鉢は、内側の節目のある焼き物の鉢である。備前のものがよく知られている。備前焼は、今でこそ破格の工芸品になっているが、本来は水がめや擂鉢などの日常雑器を生産していた。擂鉢の相棒であるすりこ木は、山椒の幹が最適とされている。
 第二次世界大戦後、食生活が急速に洋風化していく中で、擂鉢と擂粉木があまり使われなくなった時期があった。代わって人気を集めたのがステンレス製や樹脂製のボウルだった。それは、ステンレス流し台や洋食器の普及に伴い、泡立て器とともに出現し、ドレッシングソースやマヨネーズの調合などに使われた。泡立て器は電動式のものが出現し、またミキサーが登場した。その結果、額に汗し、手がだるくなるまでかき回す必要がなくなった。昭和30年代から40年代にかけて高度経済成長期は、日本人の生活、特に都市住民の生活を大きく変化させ、この時期に伝統的な台所道具がずいぶんと失われていった。焙烙は、その一つである。擂鉢と擂粉木もほとんど省みられなくなって、危うく焙烙と運命をともにしかねない状況にあった。ただ、泡立て器やミキサーには、擂鉢と違ってすりつぶす機能がなく攪拌するだけである。たぶん、そのことがすり鉢と擂粉木に復活の機会を与えたのだと思われる。
○すりこ木になぜ山椒?
 堅いすりこ木も胡麻をするたびに少しずつ削られ、結果的には、すりごまと一緒に食べられています。ついては、同じ削り食べるなら毒消し効果があると言われている材質的には堅い山椒の木を使えば一石二鳥と言う事で、昔から山椒の擂粉木が重宝がられています。
4・「あわだてる」道具 ”蒸しケーキをつくってみよう”
目的:泡立ちの原理を知る
道具:泡立て器
   茶せん
   フォーク
   コルク(2×班数)・竹串(たくさん)・箸(たくさん)・輪ゴム(2×班数)
材料:卵白 2個分×班数
米粉 
黒砂糖 
プルーン

流れ:
① まず、泡立て器で卵白を泡立てて見せる。角がたったところを観察させる。この泡がこれからつくるケーキの膨らみのもとになることを説明する。
② コルク・箸・竹串・輪ゴムで「泡立て器」をつり、卵白を泡立ててみる。どの様なつくりにすると良いか話し合う。
③ フォークなどでも泡立つことや、昔は茶せんのようなもので泡立てていたことを話し、それらも使ってみる。
④ ケーキの材料を速やかに交ぜて蒸し器へ。
⑤ 出来上がりを、卵白の泡立てなしのケーキと比較する。
泡立てるとは
○泡立たせるには?
細かく分割された空気が、泡立てようとする液体の中にうまく入りこませることが必要であり、空気を泡立てようとする液体の中に叩き込むように作業する必要がある。
○泡だて器について
 多くの家庭にあるのは泡だて器は、針金でつくった茶せん形泡立て器。先の部分は一本一本の針金が自由に動くようになっている。お互いの針金が、ある範囲内でバラバラに動く。したがって、柄の部分から先の針金が、いずれも弾力をもって動くことが出来る。茶せん形泡立て器には、全体に長短、しなやかさなど、色々違ったものがある。それぞれを比べてみると、短いものは、泡を立てるのに力が余分にいるのが分かる。反対に、ある程度長いものは、しなやかに動く。しかし、先端の針金の重なっている部分が留めてあると、打ったとき、しなやかな針金の動きが得られない。また、柄の部分も意味がある。木やプラスチックなどの柄がついているものより、全部針金製で、それをグルグル巻いて柄にしてあるものの方が、先端部分の弾力性が良い。これはグルグル巻いてある針金が、ちょうどバネの形になっているからだ。根元にバネが仕込んであるようなもので、泡立て器全体の弾力性を増し、空気を叩き込みやすいようになっている。泡だて器の弾力性を良くするため、スプリング状の泡だて器もある。
 また、泡立てる以外の混ぜる・攪拌するにはまたちがった泡だて器のほうが都合がよいときもある。たとえば、液体と固体を混ぜるときは針金が少ないもののほうが混ぜやすい。
5・「やく」・「にる」・「むす」道具、
「はかる」道具 ② ”魚を料理してみよう(3-3)”
目的:焼く・煮る・蒸すということを知る
材料: 鍋に湯を沸かす
下処理した魚
煮魚→昆布だし   1に対し
    酒      1/4
    みりん    1/8
    醤油     1/4
蒸し魚→酒 適量
    塩 適量
    昆布
流れ:
① 煮魚のグループに子どもを集め、煮魚の調味料を、計量カップを使ってはかる。(計量スプーンも紹介する)
② 「焼く」「煮る」「蒸す」の代表的な総菜の写真を見せ、それぞれがどんな加熱方法なのかを考えてもらう。
鍋で湯を沸かし、加熱の違いを説明する。
③ 「道具の山」から加熱道具を選択する。各班の先生が中心になって、候補にあがった道具を比較し決める。
④ 各班ごとに魚を加熱してもらう。それぞれの加熱の要点は、グループごとにその都度子ども達に考えさせる。
加熱とは
 加熱調理は熱により、病原菌、腐敗菌や寄生虫卵を殺菌、殺虫して安全な食品にし、腐敗を防ぐ。食品の組織や成分に変化を起こす。消化吸収率の増加、風味の増加などがある。
調理には食品の種類やその組み合わせにより、その手法は多種多様となる。
加熱調理 生物調理 生物または加熱調理併用
加熱法 主要なもの 類似のもの 特殊なもの    
湿式加熱 煮汁または水の中で加熱する。加熱温度~100度 煮物 ゆで物 
汁物  
鍋物 寄せ物
炊飯
飲み物の一部 刺身
 あらい 酢の物 サラダ 漬物 酢の物 あえ物 浸し物 サラダ 飲み物
水蒸気の中で過熱する。加熱温度100度。食品により85~90度 蒸し物 蒸し焼き
炒り物
炒め物
乾式加熱 食品を熱せられた空気、放射熱または金属板の熱で加熱する。加熱温度150~250度 焼き物
適温の油で加熱する。加熱温度150~190度 揚げ物
マイクロ波加熱 食品の加熱温度100~120度 電子レンジによる調理
○煮る
 食品を約100℃の煮汁の中で過熱する料理で、加熱中に食品に味がつく。煮汁から食品への熱移動は対流によって行われ、食品の表面に伝わった熱は外部から内部へと伝導される。加熱中、食品を完全に覆うだけの煮汁の量がない場合は、沸騰によって断続的にかぶる煮汁と煮汁から発生する蒸気の熱で加熱されるので、食品の上部は常に蒸されている状態である。つまり、食品の外部の温度は100度を超えることは泣く、内部温度との勾配は比較的少ない。しかし、鍋底に接触している部分は温度が高くなり、焦げの原因となる。
 煮物による食品の変化は、水溶性の成分の溶出と、煮汁中の調味料は時間とともに浸透する。
○茹でる
 食品を沸騰水中で加熱することは煮ると同じであるが、調味はしない。調味の目的でなく、茹でてそのまま食べるのと、予備的調理操作として行われることを目的としている。
 不味成分(アク、生臭さなど)の除去、食品組織の軟化、脱水、色をよくする、たんぱく質の凝固、殺菌などの効果がある。
○蒸す
 水を沸騰させて出る水蒸気の持つ潜熱により食品を加熱する料理である。
 食品の組織や成分の変化は煮物に近いが、水蒸気の対流が起こるが食品は動くことがないので、かたくずれにくい、流動性のものでも容器に入れに入れて蒸すことができる、水溶性の物質の溶出が煮物より少ない、蒸し水がなくならない限り焦げる心配がない、あらかじめ調味しておくか、蒸しあがってから調味し、蒸している途中で調味することはほとんどないことが特徴である。
○蒸し器の構造
 下部に水を入れ、その上に食品を置く中敷があり、上部は密閉できる蓋がついている。蓋には小穴があって、蒸気の発生状況がわかる。また蒸気によって蓋が持ち上がることを防ぐ役目をしている。中敷をする代わりに2段、3段と切り離して積み重ねるようにしたものもある。多段のものは、上段と下段の温度に差が生じるので蒸し物によって途中で入れ替えたり、適温に使い分ける必要がある。
 加熱によって、水が沸騰すると、中敷の穴を通って水蒸気が器内に充満する。その温度は常温で100℃である。食品を入れる前に、蒸し器を十分に温めておくが、食品を入れると、いったん温度が下がるから器内が100℃になるまでは強火にする。弱火にしたり、ふたをずらしたりして蒸気量を調節すると100℃以下の温度を保つことが出来る。水は、沸騰すると体積を増すので、多く入れる場合でも中敷の下1~2cmまでを限度とする。水分量が多いと食品の下部が水っぽくなる。
 食品や蒸し器の温度が100℃に達するまでは、水蒸気は食品や器具に熱量を奪われて液化し水滴となる。水滴は、穀類のように水分の少ないものには吸収されて食品の水分は増加するが、魚類や葉菜類のように水分の多いもの、脂肪や水溶性の物質は流出し水滴とともに下に落ちる。
 器内が100℃に達すれば蒸気は凝縮することなく、蒸し器の蓋の小穴から外部に噴出するようになる。このような状態になったら、沸騰の続く程度に火を弱める。食品は前面を100℃の蒸気の中で加熱されていて、食品の外部と内部の温度勾配は煮物と同様に少ない。
○焼く
 食品を高温で加熱する調理で、食品を熱源に直接かざして加熱する直火焼きとフライパン、オーブン、焙烙、アルミ箔などを用いた間接焼きがある。
 食品の表面は150~250℃くらいの高温に接しているが、内部は外部からの熱伝導による温度上昇に過ぎず、食品中には水分があるから高くなっても、80~90℃程度で外部と内部の温度勾配は大きい。
 直火焼きは主に放射電熱によって熱が食品に伝えられる。放射電熱の利用には炭火が適していると言われているが、一般家庭ではガスコンロに魚焼き網を乗せてガス火を放射電熱に変えたり、ガスレンジに組み込んだグリルの赤外線バーナーや電気ヒーターからの放射電熱を利用する。
 間接焼きは、熱源により過熱されたフライパンや鉄板などの中間体からの伝導電熱で食品を加熱する。密閉性のあるオーブンでは、温められた空気からの対流電熱とオーブン庫壁からの放射電熱、鉄板からの伝導電熱によって加熱される。
 食品を焼くと、表面の水分は減少し、癖のある匂いも放散する、たんぱく質は凝固し、でんぷんはこかして表面に幕を作る。周囲に水がないため水溶性の成分の溶出も少ないので味葉の祝される、表面はこげてくるから食品の持ち味に焦げの風味が加わることが特徴となる。
○炒める
 熱せられたなべの熱と少量の油の熱によって食品を加熱する調理で、揚げ物に比べて油の量が、非常に少なく直接なべの高温が伝わるために焦げやすいので、食品の加熱面を短時間にするひつようがあり、混ぜたり揺り動かしたりする作業を伴う。
 炒めることによって、植物性食品は一般に軟化し、動物性食品はかたくなる。水分は減少し、交代して油が浸透し、油の香味が加わる。さらに焦げ目をつける場合は焦げの風味が加わる。クロロフィルを含むものは短時間の加熱で色の美しさは増し、カロテンを含むものは油に溶けやすいため、体内での利用率が高まる。高温短時間の加熱のため、ビタミンの損失は少なく、過熱中、甘味の増加や糖分のカラメル化、でんぷんのデキストリン化が行われる。
○魚を上手に焼く方法
 強い放射熱を与え、熱凝固をうまく起こすことが、大切になります。しかし、火で直に加熱すると、部分的に500~600℃にもなり焦げたりムラ焼けし、火を弱めれば、中まで火が通らないことがあります。
魚の表面のたんぱく質が素早く固まって魚のうま味を閉じ込めるには約300℃の放射熱で加熱することであり、また、焼きムラなく、均一に焼くためには内側と外側の大きな温度差を調整することで大切になります。
そのため魚を火から遠ざける「強火の遠火」で焼くことがよいといわれています。
6・「おろす」道具 ”大根をおろしてみよう”(魚を加熱している間に行う)
目的:おろす道具の違いにより生じる、大根おろしの違いを知る。
道具:おろし金(アルミ)・セラミックおろし・鬼おろし・プラスチックおろし
材料:大根 
流れ:
① 子ども達に様々なおろし金をわたし観察してもらい、何をする道具か答えてもらう。大根おろしにどんな違いが出るか話し合う。
② 交代しながら大根をおろす。
③ 試食をして違いを話し合った後、なぜ違いが生じるか簡単に説明する。
おろすとは
○鬼おろしとおろし金
 どちらも食材をすりおろす為の調理器具である。おろし金は表面に小さな突起が多数突き出ており、突起部に食材をこすり付けることで食材の組織を破壊し、食材を細片化する。
また鬼おろしは竹を加工し、鋸歯状に1cmほどの三角形の突起を持たせたおろし器。粗く固まり状におろすことができる。大根をおろすのに利用され、大根以外の食材に利用されることは稀である。
○下ろし方
大根おろしの辛みを得るためには、細胞を効率良く壊すことが必要である。そのためには大根の切断面を繊維を断ち切るようにおろすとよい。おろし金に対して直線に力をこめて一気にすりおろすとより辛味が増す。『怒りながら大根をおろすと辛くなる』という昔ながらの伝承は、的を射ているといえるでしょう。
○大根の辛さの秘密
大根おろしの辛みは、辛み成分アリルイソチオシアネート(芥子油)によるものであるが、この物質は、そのままの大根の中には存在していないため、野菜スティック等で生の大根をそのまま食べても、辛みよりむしろ甘みを感じる。イソチオシアネートは大根をすりおろしたり切ることで、細胞が壊れると初めて化学反応により生成される。そもそも大根中の別々の場所に存在していたイソチオシアネートの前駆物質(グルコシノレート、芥子油配糖体)とミロシナーゼと呼ばれる酵素が、細胞が壊れることにより混ざりあい、イソチオシアネートを生成する化学反応を起こすことによる。イソチオシアネートの前駆物質は根の先端部分ほど含有量が多く、葉に近い部位の約10倍にもなる。また若い大根には多く、成長するにしたがって減少する。そのため辛い大根おろしには夏大根がより適している。なおイソチオシアネートは揮発性のため、おろしてからしばらくおいておくと辛みが減少する。また、ビタミンCなども時間とともに同様に減少する。それをさけるためには、食べる直前におろすのがよい
7・食事・まとめ
・魚を食べながら、各班ごとに工夫した点を発表する。それぞれの加熱に必要な注意点も子ども達に振り返ってもらう。それぞれの魚を皆でつまんでみる。最後に、完全に骨だけになるまで魚を食べる(残す場合は、解体してみる。)
・ 鰹節削りの実演
・ 緑茶を炒ってほうじ茶をつくる
・今日取り上げた道具を振り返る。
アンケートから~参加した大人の方々の感想
<特に印象に残ったことは?>
・子どもたちが楽しく真剣に作業していたこと。ふざけたり暴れたりする子はいませんでしたね。
・魚についての勉強および扱い方。
・子どもたちが楽しそうに学習しているのは親が見ていても楽しい。
<よかった点、改善すべき点は?>
・時間配分を考慮してほしい
・先生方の声が大きいのは大変より
・孫は小1でいちばん年下でしたが、先生方の指導のもと年上のお姉さんやお兄さんたちといっしょに学び作業する様子を見てほほえましく思いました。
・いろいろな作業を体験させてもらえて息子には勉強になりました。品数が多いのは楽しいのですが、もう少しなくして2時間くらいに収まるようにした方がいいように思います。
お手ふきタオルハンカチ、うちはたまたま持ってきましたが、1人1人持参してもらったらよいのでは? 私は初めて参加しましたが、楽しく有意義なイベントだと思いました。

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