連続講座「科学を変える―誰が、どこから、どうやって?」
科学という営みは、あまりにも多岐にわたって広がり、中身も高度で複雑で、全体をとらえることは誰にもできないし、新しい技術を生み出していろんな問題を引き起こすとしても、それをうまく前もって防いだり、良い方向にすすむようにしていくことなど、ほぼ不可能ではないか―多くの人が、専門家の営みとしての「科学」と「自分」との間に大きな距離を感じつつ、そんなふうに思っているのではないでしょうか。
「市民科学」は科学の変え方の一つ、オルタナティブな科学の姿の一つ、と考えている私(市民研・代表の上田)には、「科学を変える」ことが、じつは、もっとあの手この手を使ってじわじわと実現していけることのように思え、その具体的なあの手この手を、なんとかうまく方法としてまとめ、個別の具体的な実践に役立てていけないだろうか、という気持ちがあります。
この連続講座は、科学の変え方のあの手この手を、次の3つの柱を立てて、探ってみようとするものです。その柱とは、
A)私たちの生活・学び・結びつきをみすえて試みる
B)科学技術の制度と政策に即して手がかりを見つける
C)科学のオルタナティヴを構想し目指す人たちを知る(点描「世界の市民科学者たち」)
このうちのA)は以前に行った連続講座「生活のなかの科学技術リスク」、そしてC)は連続講座「日本の市民科学者―その系譜を描く」の続編・発展編にあたるものです。すなわち、A)では、一般の生活者(市民)がいかしにして自分の今いる生活圏から「科学を変える」営みを作り出していけるかを探り、C)では、海外の科学者や思想家や活動家(団体)などにも目配りして、大きな示唆を与えてくれる彼ら・彼女らの足跡を振り返ります。そしてB)では、科学技術の政策や制度に詳しい専門家らを招いて対談の形で「変え方」の手がかりを探り出していきます。A)では私からの問題提起のあと参加者らと議論することが中心になり、C)は講義風になりますが、それでも3分の1の時間は議論にあて、そしてB)では対談を中心にしてそのあとに質疑応答を行います。この講座の基本的な問題意識は、2017年に講演記録「市民科学の取り組みからみた STS の 10 の課題 」で示したことを反映しているとお考えください。
テーマ・取り上げる人物・対談する相手については、随時決まり次第お知らせしていきますが、A→B→C→A→B→……という順序は守っていくつもりです。2023年6月以降は隔月で毎月第4木曜日の夜の2時間をあてて、現時点では「終わり」を想定しないで、しばらくの間続けていきます。
第1回(A01) | ’23年2月24日(金) | 問題提起&進行:上田昌文 |
日本の科学教育をどう変えていけるか【終了】 【動画をYouTube市民科学研究室チャンネルに公開しています → こちらから】 | ||
第2回(B01) | ’23年3月24日(金) | 講師:小林信一さん(広島大学高等教育研究開発センターセンター長) |
市民は科学技術政策をどう変えることができるのか【終了】 【動画の視聴は以下から】 | ||
第3回(C01) | ’23年4月28日(金) | 講師:上田昌文 |
J.グドールとJ.クストーが投げかけていること―地球の生き物・生態と未来世代倫理【終了】 【動画の視聴は以下から】 | ||
第4回(A02) | 6月22日(木) | 報告:上田昌文 |
市民は工業的畜産への依存を脱していけるか【終了】 【動画の視聴は以下から】 | ||
第5回(A03) | ’23年9月21日(木) | 報告:上田昌文 |
遺伝子特許と種(たね)の支配の問題を考える【終了】 【動画の視聴は以下から】 | ||
第6回(B02) | ’23年10月26日(木) | 講師:榎木英介さん(科学・政策と社会研究室 代表理事) |
再論「どうする“研究力低下” これからの大学は」【終了】 【動画の視聴は以下から】 | ||
第7回(C02) | ’23年12月28日(木) | 講師:上田昌文 |
ナイチンゲールの衝撃―感染制御と社会改革 | ||
第8回(B03) | ’24年2月29日(木) | 講師:(交渉中) |
ELSIをめぐって(仮題) | ||
第9回(C03) | ’24年4 月25日(木) | 講師:上田昌文 |
(検討中) | ||
第10回(A04) | ’24年6月27日(木) | 問題提起&進行:上田昌文 |
技術者たちの自主研究活動の可能性―「現代技術史研究会」を事例に | ||
第11回(B04) | ’24年8月22日(木) | 講師:(交渉中) |
(検討中) | ||
第12回(C04) | ’24年10月24日(木) | 講師:上田昌文 |
L.マンフォードの思想の射程―文明史からの科学技術批判 | ||
……2024年以降も継続していく予定です。 |
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第1回目の「日本の科学教育をどう変えていけるか」の動画を公開しています。