市民科学講座 連続シンポジウム
シリーズ「福島原発事故の経験から放射線防護のあり方を改める」第3回
放射線防護の基準やその決め方などを市民科学の観点から問い直す連続シンポジウムの第3回を開催します(第1回は3月29日に、第2回は4月28日に実施済み)。
市民科学研究室では、昨年(2021年)2月に「ICRP新刊行物と福島原発事故における放射線防護――作成にあたった委員を招いてのオンライン討論会」を開催するなど、ICRP Publication 146の策定過程で実施されたパブリック・コメントやその後に刊行されたICRPの報告書をめぐる議論に取り組んできました。(この討論会の動画はこちら、報告書はこちらに掲載しています。)
放射線審議会におけるICRP勧告の取り入れの動向や、ICRPの新たな基本勧告の策定の動きをもにらみつつ、年間20ミリシーベルトや年間1ミリシーベルトといった放射線防護の基準やその決め方にいかなる問題点があるのか、それらをどのように変えていくことができるのか、市民科学の観点から見直していく連続シンポジウムを開催します。
その第3回目は、ICRP勧告改訂草案へのパブリック・コメントにおいて多岐にわたる根本的な批判的コメントを提出された濱岡豊さんにICRP勧告の問題点について、ご自身のコメントがどのように反映されたのか、それとも反映されなかったのかということを含めて、お話しいただき、議論を深めていきたいと思います。
第1部:
連続シンポジウムの趣旨説明、およびICRP Pub. 146と福島原発事故――2021年2月の討論会での主として線量基準(線量限度)に関する議論をふまえて(柿原泰、瀬川嘉之)
第2部:
濱岡豊さん(慶応義塾大学商学部教授)のお話
参考:濱岡豊「勧告改定草案における福島核災害の記述・取り入れの問題点」、『科学史研究』298号(2021年)、158-161頁。
2021 年 ICRP ワークショップ「放射線防護の将来」のまとめ(外部リンク、15頁に濱岡さんの発表の要約が出ています)
日時:2022年6月28日(火) 19:00~21:00
形式:Zoomによるオンライン開催
お申し込み:次のボタンをクリックして専用フォームに必要事項を記入して「送信」を押して下さい。
申込みと参加費の送金が完了した方には、6月28日(木)正午に、参加のためのzoomのURLを送信いたします。
参加費:500円(要事前申し込み)
以下の「カート」を使って500円を6月27日(月)正午までにご送金下さい(※)。
オンライン送金(クレジットカード使用)ではない、「ゆうちょ銀行」への振込や「郵便振替」を用いて送金する場合は、その送金の手続を必ず6月25日(土)正午までにお済ませ下さい(こちらの口座への入金が確認できるのが2日後になるためです)。
市民科学研究室の会員は参加費は無料となります。
※送金には次の3つの方法があります。1)は上記「カート」に相当します。2)と3)は、こちらで入金が確認できるまでに、送金していただいてから2,3日かかることを予めご留意下さい。詳しくはこちらをご覧ください。
1)オンラインによる送金(市民科学研究室PayPalにてクレジットカード使用)
2)銀行口座からの送金(市民科学研究室のゆうちょ銀行口座宛て)
3)郵便振替による送金(郵便振替用紙を用いて窓口から送金)
連続シンポジウム これまでとこれから
第1回 2022年3月29日実施
帰還困難区域からの避難者の経験から見る
第1部:企画全体の趣旨説明およびこれまでの経緯の説明(柿原泰)
ICRP Pub. 146と福島原発事故 問題点の概説(瀬川嘉之)
第2部:東電福島原発事故に遭い、浪江町津島から避難されている菅野みずえさんのお話
第2回 2022年4月28日実施
第1部:連続シンポジウムの趣旨説明、第1回の概略の紹介(柿原泰)
福島原発事故を踏まえたICRP Pub.146に関するICRP委員との討論会(瀬川嘉之)
第2部:森松明希子さん、鴨下祐也さんのお話
森松明希子さん:東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream(サンドリ)代表
鴨下祐也さん:福島原発被害東京訴訟原告団長、元・国立福島工業高等専門学校准教授
第3回 今回
第4回 放射線防護のあり方、基準の策定過程を問い直す――総合討論(7月頃開催予定)
主催:市民科学研究室・低線量被曝研究会
協力:原子力市民委員会、原子力資料情報室、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、国際環境NGO FoEジャパン、高木学校、「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク、放射線被ばくを学習する会
【第2回目の資料と動画】(準備中)
・発表スライド「福島原発事故を踏まえたICRP Publ.146 に関するICRP委員との討論会」(瀬川嘉之)はこちらで公開しています。
・第2回目の動画は、第2回目の参加者は無料で視聴できますが、参加していない人が視聴するには、こちらのサイトに記した所定の手続きが必要となります。
【第1回目の資料と動画】(準備中)
・発表スライド「ICRP Pub.146と福島原発事故―問題点の概説」(瀬川嘉之)はこちらで公開しています。
・第1回目の動画は、第1回目の参加者は無料で視聴ができますが、参加していない人が視聴するには、こちらのサイトに記した所定の手続きが必要となります。
【参考情報】
・「ICRP新刊行物と福島原発事故における放射線防護――作成にあたった委員を招いてのオンライン討論会」(2021年2月20日開催)
・討論会報告書(2021年10月刊行)
・ICRP Publ. 146「大規模原子力事故における人と環境の放射線防護」(暫定日本語訳)
・ICRP 基本勧告の改訂に向けた論文とワークショップについて
「ICRP 勧告を目的に適合させる」(日本保健物理学会による仮訳)
「放射線防護体系を支援するための研究分野」(日本保健物理学会による仮訳)
IAEAの一般安全要件(GSR Part 3)での考え方
現存被ばく状況(原子力発電所の運転では計画的被ばく状況を遵守すべきであり、事故によってもたらされる現存被ばく状況はあってはならないものですが)での公衆被ばくの制御に関する、建材、食品などの参考レベルは、それぞれ代表的個人への実効線量として年間1 mSvを超えないように設定すべきとされています。
Requirement 51: Exposure due to radionuclides in commodities
The regulatory body or other relevant authority shall establish reference levels for radionuclides in commodities.
5.22. The regulatory body or other relevant authority shall establish specific reference levels for exposure due to radionuclides in commodities such as construction material, food, feed and drinking water, each of which shall typically be expressed as, or based on, an annual effective dose to the representative person generally that does not exceed a value of about 1 mSv.
https://www.nsr.go.jp/activity/kokusai/honyaku_01.html
現存被ばくでの課題例(事故のインパクトを小さく見せることは意図していません)
・食品摂取に伴う放射線量の説明例
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r2kisoshiryo/r2kiso-02-05-01.html
濱岡さんが言及したUNSCEARのパワー計算に関するアタッチメント
https://www.unscear.org/docs/publications/2020/UNSCEAR_2020-21_Annex-B_Attach_A-23.pdf
UNSCEARが6カ国語のみを用いており、日本語をサイト案内で用いていないのはアンフェアとのことでしたが、
国連公用語を用いているからであると思います。
この課題もICTの力で克服されつつあるところではないでしょうか。
瀬川さんの放射線防護における「正当化」の確保問題指摘例(保健物理学会・日本放射線安全管理学会の合同大会でなされていました)
→もっとも放射線防護の活動も何らかの負担は与えうる。
https://doi.org/10.11269/jjrsm.19.28
https://doi.org/10.11269/jjrsm.21.19